2017年の主な彗星の光度変化

2018年6月16〜17日 第48回 彗星会議 in 石垣島

吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
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■目次

■とても明るくなった彗星

●C/2016 M1 ( PanSTARRS )   q = 2.21 a.u.

m1 = 5.0 + 5 logΔ + 10.0 log r

●C/2016 R2 ( PanSTARRS )   q = 2.60 a.u.

複雑な尾が印象的ですが、その時の日心距離は 2.9 a.u. の遠方でした。

m1 = 3.5 + 5 logΔ + 12.0 log r

●C/2017 O1 ( ASASSN )   q = 1.50 a.u.

近日点の前から、速いペースで減光を始めました。

m1 = 5.0 + 5 logΔ + 20.0 log r(t + 35)

●C/2017 T1 ( Heinze )   q = 0.58 a.u.

近日点の前から減光し始めました。

m1 = 12.0 + 5 logΔ + 9.0 log r

●24P/Schaumasse

増減光が急激な彗星です。増光に比べると、減光のペースはやや遅いです。

●62P/Tsuchinshan 1

こちらも、増減光が急激な彗星です。

前回2004年の回帰と比べると、今回は20日ほど早く急増光が始まりました。

■明るくなった彗星

●C/2015 O1 ( PanSTARRS )   q = 3.73 a.u.

m1 = 4.0 + 5 logΔ + 11.0 log r

●C/2016 N6 ( PanSTARRS )   q = 2.67 a.u.

m1 = 3.5 + 5 logΔ + 14.0 log r

●C/2017 K6 ( Jacques )   q = 2.00 a.u.

m1 = 8.5 + 5 logΔ + 12.5 log r(t - 30)

●C/2018 EF9 ( Lemmon )   q = 1.56 a.u.

突然に明るくなりました。

●37P/Forbes

予想よりも明るくなりました。

m1 = 7.2 + 5 logΔ + 25 log r

●66P/du Toit

以前から、近日点の前後だけ、突発的に明るくなる傾向があります。今回は、予想よりも明るくなりました。

●71P/Clark

条件の良かった2006年と比べると、1等ほど明るくなりました。

2006年   m1 = 8.0 + 5 logΔ + 21.5 log r(t - 30)
2017年   m1 = 7.2 + 5 logΔ + 20.0 log r(t - 30)

●96P/Machholz 1

今回は条件が悪く、ほとんど観測されませんでした。

●185P/Petriew

前回の回帰と同じ明るさに達しました。

m1 = 11.0 + 5 logΔ + 23.0 log r(t - 10)

●217P/LINEAR

前回は、近日点の後にしばらく明るい状態を保ちましたが、今回は近日点の後にすぐ減光しました。 そのため、前回より1等ほど暗くなりました。

m1 =10.3 + 5 logΔ + 15.0 log r(t - 10)

●355P/2004 T1 = 2017 M2 ( LINEAR-NEAT )

2004年の発見は、バーストで明るくなったところを発見されたと思われます。

発見から2回帰しています。 今回は、近日点までは発見時よりも暗かったですが、近日点の後は、発見時に匹敵する明るさに達しました。

m1 = 10.0 + 5 logΔ + 25.0 log r(t - 25)

■特異な光度変化を見せた彗星

●90P/Gehrels 1

これまでと同様の、特異な光度変化を見せました。

m1 = 4.5 + 5 logΔ + 22 log r(t - 130)

●145P/Shoemaker-Levy 5

これまでよりやや減光が早まりましたが、それでも、近日点の後に最大光度となりました。

m1 = 9.0 + 5 logΔ + 20.0 log r(t - 40)

●174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2017年12月に、4回目のバーストを起こしました。

過去3回のバーストは、いずれも14等でしたが、今回は最も明るくなりました。

年月日心距離最大光度
2006年1月13.0 a.u.14等
2011年5月8.5 a.u.14等
2016年8月6.3 a.u.14等
2017年12月7.3 a.u.13等

●213P/Van Ness

かなり太陽に近づいてから、急増光を始めました。

●240P/NEAT

近日点のはるか前に、バーストを起こしました。

その後は次第に暗くなり、近日点の頃には、元の予報通りの光度変化に戻りました。

●352P/2000 S1 = 2017 L1 ( Skiff )

発見時も今回も、近日点まではかなり暗い傾向があります。 近日点を過ぎて3ヶ月くらいして最大光度になるようです。

●362P/(457175) 2008 GO98

彗星活動を見せたヒルダ族の小惑星です。2001年から観測がありました。

彗星活動が捉えられたのは2017年7月ですが、2016年から、小惑星の光度曲線に合っていません。 急激に増光したような、奇妙な光度変化をしています。

Charles Bell氏によれば、この天体は、1710年に木星に大接近して、Centaur から短周期の軌道に変わりました。 その後、2011年にも木星に接近して、近日点距離がさらに小さくなり、今回、初めて太陽に近づくようになりました。

■注目された小惑星

●1I/2017 U1 ( 'Oumuamua )

史上初の恒星間天体です。

2017年9月9日に、太陽に0.25天文単位まで接近しました。

緑色の曲線は、彗星活動を見せた、と仮定した場合の光度変化です。

●(3200) Phaethon

2007年12月中旬に、地球に0.07天文単位まで大接近しました。

■ピークが近日点からずれている彗星

●C/2013 P3 ( Palomar )   q = 8.6 a.u.

m1 = -6.0 + 5 logΔ + 20.0 log r(t - 300)

●C/2014 OE4 ( PanSTARRS )   q = 6.2 a.u.

m1 = -4.0 + 5 logΔ + 20 log r(t - 180)

●C/2014 R3 ( PanSTARRS )   q = 7.3 a.u.

この彗星は、近日点の100日後に最大光度に達した後、減光せず、ほぼ同じ明るさのままです。

m1 = -16 + 5 logΔ + 33 log r(t - 100)

●C/2015 B2 ( PanSTARRS )   q = 3.4 a.u.

この彗星は珍しく、近日点の前に最大光度になりました。

m1 = 9.2 + 5 logΔ + 10.0 log r(t + 150)

●C/2017 D3 ( ATLAS )   q = 5.0 a.u.

m1 = 3.0 + 5 logΔ + 15.0 log r(t - 200)

■期待されている彗星

●C/2017 S3 ( PanSTARRS )   q = 0.21 a.u.

m1 = 10.0 + 5 logΔ + 10.0 log r

●21P/Giacobini-Zinner

近日点前   m1 = 8.7 + 5 logΔ + 18.5 log r
近日点後   m1 = 8.8 + 5 logΔ + 15.0 log r

●38P/Stephan-Oterma

予想より早い段階から、増光が始まっているようです。

m1 = 3.5 + 5 logΔ + 30.0 log r

●46P/Wirtanen

m1 = 8.0 + 5 logΔ + 27.0 log r(t - 12)

●364P/2013 CU129 = 2018 A2 ( PanSTARRS )

m1 = 16.0 + 5 logΔ + 25.0 log r(t - 5)