近日点の近くで急激に明るくなるタイプの彗星。光度変化は非対称で、近日点通過前の方が明るい時期が長い。
特に近日点通過前の急激な増光は著しい。近日点の3ヵ月前になって急に明るくなり始め、2ヵ月で6〜7等も増光し、一気に眼視で見えるようになる。その後は増光が緩やかになり、1ヵ月半ほど明るい状態で見え続ける。
近日点を通過した後も、しばらくは減光は緩やかだが、20日ほど過ぎると、急激に暗くなり始める。近日点前の増光ほどではないが、減光も急激で、近日点から3ヵ月が経つと、元の暗い状態に戻る。
これ以外の時期は、ほぼ小惑星状で、18〜20等とたいへん暗い。
北半球では、近日点を通過する前を観測できる。南半球では、近日点を通過した後を観測できる。この彗星を観測するには、北半球の方が条件が良い。
北半球では、9月から2月の間に近日点を通過すると眼視で見える。特に、12月中旬〜下旬に近日点を通過すると、地球に接近して、6.5等まで明るくなる。観測の条件も非常に良くなる。一方、4月から8月の間に近日点を通過すると、明るい時期にはほとんど観測できない。
南半球では、1月から8月の間に近日点を通過すると眼視で見える。但し、北半球と違って、最大光度は8等が限界である。一方、9月から12月の間に近日点を通過すると、明るい時期にはほとんど観測できない。
木下一男氏の計算では、18世紀の半ばから、21世紀の末まで、軌道はほとんど変化しない。
しかし、この彗星は次第に衰退しつつある。19世紀初めの発見当時は、彗星の明るさは現在より4等も明るかった。最大3.5等になって、肉眼でもアンドロメダ大星雲と同じ明るさに見えた。現在では、最大でも6.5〜7等にしかならない。