今週の明るい彗星 (2006年3月25日:南半球版)

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Updated on March 26, 2006
先週 北半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、南緯35度の地点での値です。

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* C/2006 A1 ( Pojmanski )

2月末から3月初めにかけて、最大で5.2等に達した。現在は暗くなりつつあるが、減光のペースはまだ緩やかで、まだ6.9等と明るい(3月23日、永井佳実氏)。集光が強く、明るさの割に視直径が数分角とかなり小さい。日本からは、今後は暗くなるまでずっと条件良く観測できる。明け方の空で次第に暗くなっていく。6月までは眼視で見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  21 57.60   42  2.0   1.042   0.876    50    7.2   4:42 (228,-14)  
Apr.  1  22 31.21   49  8.8   1.197   0.988    52    7.8   4:48 (222,-18)  

* 73P-C/Schwassmann-Wachmann 3

予報通り、順調に明るくなってきている。3月23日には10.5等(永井佳実氏)と、すでに眼視でもかなり明るく見えるようになっている。集光が強く見やすい。1930年の発見以来76年ぶりに、5月12日に地球に0.08AUまで大接近する。最大で3.5等になり、肉眼でも見られるだろう。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。B核とG核の2つの核も明るく見えている。本体に比べて、B核は2.5等、G核は5.5等ほど暗い。彗星の接近に合わせて、5月から6月にかけて、1930年に見られたうしかい座流星群が再び突発出現するかもしれない。但し、計算上は地球はダストトレイルと遭遇しない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  14 29.85   17 39.1   0.465   1.392   141    9.9   2:21 (180, 37)  
Apr.  1  14 40.69   19 35.3   0.390   1.328   141    9.2   2:04 (180, 36)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

昨年の8月からずっと南の低空に眼視で見え続けている彗星。12月から3ヵ月も、ずっと10等を保っている。以前は小さくかなり鋭かったが、今はふつうの拡散した彗星状。夕空でゆっくりと高度が下がっており、4月には低すぎて見えなくなる。8月下旬に再び13.5等で明け方の空に現れる。10月には高度も高くなり、眼視でも再び14等で見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   1 40.78   20 56.8   2.378   1.574    28   10.3  19:29 (108,-11)  
Apr.  1   2  3.20   23 22.2   2.420   1.602    27   10.4  19:19 (111,-12)  

* 73P-B/Schwassmann-Wachmann 3

順調に明るくなってきている。3月23日に12.3等(Edwin van Dijk)と、すでに眼視でも明るく見えるようになっている。1930年の発見以来76年ぶりに、5月14日に地球に0.067AUまで大接近する。5.5等に達し、本体と共に肉眼彗星となるだろう。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  14 21.72   18 30.4   0.470   1.401   142   12.5   2:13 (180, 37)  
Apr.  1  14 30.55   20 34.5   0.395   1.337   143   11.8   1:54 (180, 35)  

* C/2004 B1 ( LINEAR )

最大で9等になると期待されていたが、かなり増光が鈍く、予想より遥かに暗い。昨年秋には南半球で10等で見えるはずだったが、実際には12〜13等だった。その後、南半球でも1月から2月にかけては低すぎて見えなかったため、観測が極めて少ない。最近の観測は、10等(3月19日、柏木周二氏)、12等(3月10日、Terry Lovejoy)、または14等(2月26日、Jim Gifford)と、非常にばらつきが多く、本当の明るさは不明。南半球では次第に高く見えるようになってきている。日本からもようやく明け方の空に見え始めた。今後は秋まで条件良く観測できる。6月まで12等と明るく見えるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  20 27.67  -21  7.9   1.978   1.714    60   11.9   4:42 (269, 41)  
Apr.  1  20 23.48  -17 54.8   1.875   1.749    67   11.9   4:48 (259, 47)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

ふつうの彗星より速いペースで増光して、10月には13.5等で眼視でも見えるようになった(10月24日、吉田誠一)。現在も13.4等と明るい(2月27日、吉田誠一)。小さく集光が強い。遠方の彗星のため、これから2006年6月まで、長期に渡って13.5等で条件良く見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   9 39.39   51 53.9   4.660   5.193   117   13.6  21:28 (180,  3)  
Apr.  1   9 38.49   51 16.5   4.731   5.192   112   13.6  21:00 (180,  4)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

2005年には、9月と11月にバーストを起こし、12.5〜13等に達した。12月から1月にかけては15等と暗かったが、1月下旬からはしばらく13等と明るい状態が続いている。3月18日にもまだ13.2等と明るい(Rolando Ligustri)。だが、まもなく低すぎて観測できなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   2 23.47   22 60.0   6.553   5.797    37   13.8  19:29 (115, -5)  
Apr.  1   2 28.94   23 20.3   6.618   5.798    32   13.8  19:19 (114, -7)  

* 71P/Clark

3月14日に15.2等(門田健一氏)と増光してきている。これから明け方の空で急激に増光してくる。まもなく眼視でも見え始めるだろう。6月には12等に達する。近日点通過の頃に衝となり、最良の条件。だが、6月から9月までは、日本からの高度は13〜20度とたいへん低くなってしまう。再び高くなる頃には14等以下となり、眼視では見えないだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  17 18.29  -19 44.0   1.175   1.714   103   14.2   4:42 (203, 74)  
Apr.  1  17 33.56  -20 40.1   1.097   1.689   107   13.9   4:48 (188, 76)  

* 73P-G/Schwassmann-Wachmann 3

3月23日に15.6等(E. J. Christensen)と、順調に明るくなってきている。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。4月上旬には眼視で見え始め、最大で8.5等に達しそう。但し、小さい分裂核のため、今後の光度変化は予断を許さない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  14 20.34   18 39.1   0.471   1.403   143   15.5   2:12 (180, 36)  
Apr.  1  14 28.83   20 44.4   0.396   1.339   143   14.8   1:53 (180, 34)  

* P/2005 XA54 ( LONEOS-Hill )

12月初めに発見された当時は18.5等と暗かったが、1月中旬には17等まで増光した。その後、1月中旬からは極端に急激に明るくなり、2月下旬には眼視でも14.0等と、かなり明るく見えている(2月27日、吉田誠一)。たいへん集光が強く、恒星状に近い。条件良く観測できるが、4月以降はあっという間に暗くなりそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  10 26.45   24 54.9   0.889   1.787   142   15.2  22:15 (180, 30)  
Apr.  1  10 31.68   25 50.6   0.935   1.797   136   15.5  21:53 (180, 29)  

* C/2005 B1 ( Christensen )

2006年2月に近日点を通過するが、期待されたほど増光しておらず、12月18日に15.7等(門田健一氏)。2006年暮れにかけて、長い間15〜16等で見える。北天を移動するため、日本からはずっと観測できる。5月頃までが最も明るいが、ずっと高度は30度以下と低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  22 40.06   53 51.8   3.671   3.217    55   15.6   4:42 (221,-26)  
Apr.  1  22 56.70   53 49.0   3.712   3.224    53   15.7   4:48 (220,-24)  

* C/2004 Q2 ( Machholz )

2004年1月上旬の最盛期には、3.5等、視直径30分角という巨大な姿が、頭上高く、たいへん明るく見えた。その後は次第に暗くなり、すでに眼視では見えなくなったが、CCDではまだ15.6等と明るい(3月4日、吉本勝己氏)。10月に18等以下になるまで、ずっと追跡できるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  17  0.40    1 45.7   4.862   5.266   108   15.6   4:42 (184, 53)  
Apr.  1  16 59.08    2  4.2   4.829   5.331   115   15.7   4:23 (180, 53)  

* P/2004 VR8 ( LONEOS )

2004年11月に発見された時には18等と暗かったが、2005年初めにかけて、かなり急激に明るくなり、5月7日には16.0等に達した(門田健一氏)。明け方の空に再び現れて来た後もさらに増光し、11月22日には14.7等まで明るくなっている(門田健一氏)。眼視でも14.0等で見えている(2月27日、吉田誠一)。日本からは、夏に暗くなるまで、ずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  13 57.72   14 58.6   1.941   2.846   149   16.0   1:50 (180, 40)  
Apr.  1  13 52.57   15 11.0   1.945   2.874   153   16.1   1:17 (180, 40)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

ふつうの彗星より速いペースで増光して、2月9日には15.8等に達している(門田健一氏)。来年春にかけて、長期に渡って16等で条件良く見られる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  10 20.07   65 57.2   4.565   4.985   109   16.1  22:08 (180,-11)  
Apr.  1  10 17.67   65 17.2   4.626   4.989   105   16.1  21:39 (180,-10)  

* C/2005 K1 ( Skiff )

2005年春から夏にかけて、CCDで16等、眼視でも14等で見えた彗星。再び明け方の空に現れて来た。2006年も春から夏にかけて16等で観測できる。ただ、2005年よりはやや高度は低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  19 39.06   -1 34.7   4.097   3.855    69   16.4   4:42 (239, 39)  
Apr.  1  19 42.20   -2  5.7   4.013   3.873    74   16.4   4:48 (232, 44)  

* C/2004 K1 ( Catalina )

2005年春には、眼視でも14.3等で見えた(7月10日、Edwin van Dijk)。現在は16.6等(2月5日、門田健一氏)。12月から4月始めまでずっと16.5等を保つが、その後は急に暗くなり、7月には18等以下になる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  12  2.88   18 42.9   3.215   4.164   159   16.5  23:50 (180, 36)  
Apr.  1  11 49.19   19 22.5   3.284   4.200   153   16.6  23:09 (180, 36)  

* 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

1995年、2001年と、連続して6等以上の大バーストを起こしている。予報では14等止まりだが、今回も予報通りにはいかないだろう。突発的な増光を見せて、眼視で見えるようになる可能性は高い。3月3日には16.6等(Toni Scarmato)と、すでにこの予報より明るくなってきている。今回は地球にあまり近づかないが、6月に最大光度となり、秋に暗くなるまで、ずっと夕空で観測できる。5月以降は、高度30度と、同じような位置に見え続ける。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   5 49.05   21 14.1   1.192   1.463    83   16.9  19:29 (151, 28)  
Apr.  1   6  0.77   22 10.4   1.195   1.406    79   16.5  19:19 (150, 27)  

* 174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2004年までは21等以下と極めて暗いセントール型の小惑星だった。だが、2005年12月30日に17.5等まで増光し、コマが観測され、彗星であることが判明した。1月7日には14.8等と、更に明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等で見えた(1月8日、吉田誠一)。奇妙な惑星状星雲のような姿で、眼視では拡散状。一時的なバーストと思われる。2月上旬まで14等を保ったが、2月28日には15.4等と暗くなってきた(Giovanni Sostero and Ernesto Guido)。近いうちに元通り、21等まで暗くなるだろう。だが、まだこの予報より明るいかもしれない。近日点通過は2015年で、太陽に5.9AUまで近づくが、17等止まりだろう。だが、再びバーストを起こすかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  13 11.53   -5 30.4  11.955  12.922   165   16.6   1:03 (180, 61)  
Apr.  1  13  9.93   -5 19.8  11.918  12.910   172   17.0   0:34 (180, 60)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

2006年2月に近日点を通過するが、木星よりも遠くにあるため、長期に渡って17等を保つ。北天を移動するため、2006年夏まで高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  15  1.17   69 43.3   6.502   6.803   103   16.7   2:53 (180,-15)  
Apr.  1  14 50.96   69 51.4   6.518   6.806   102   16.7   2:15 (180,-15)  

* (944) Hidalgo

2004年秋には好条件となり、13等で眼視でも見えた。8月にいったん観測できなくなっていたが、再び明け方の空に現れて来た。4月末まで17等を保つが、その後はすぐに18等以下になり、去って行く。次回帰は2018年で、14.3等止まりである。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  13  7.79    6 29.1   3.162   4.131   164   16.7   1:00 (180, 49)  
Apr.  1  13  1.33    6 29.5   3.191   4.173   167   16.7   0:26 (180, 49)  

* 32P/Comas Sola

すでにかなり遠ざかり、予報では19等のはずだった。実際、1月8日には18.3等と暗かった(門田健一氏)。しかし、予想外のバーストを起こし、1月27日には15.7等まで明るくなった(門田健一氏)。その後は急激に減光しているが、3月10日にもまだ17.2等と明るい(門田健一氏)。4月までは18等より明るく観測できそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  15  1.62   -9 18.0   2.662   3.466   137   17.0   2:53 (180, 64)  
Apr.  1  14 57.75   -9  7.0   2.634   3.505   145   17.2   2:22 (180, 64)  

* C/2006 CK10 ( Catalina )

近日点の頃は見えないが、春と秋に、17〜17.5等で条件良く見られる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   9 59.66   67  2.6   1.648   2.165   107   17.4  21:43 (180,-12)  
Apr.  1   8 54.00   65 45.2   1.716   2.116    98   17.4  20:12 (180,-11)  

* 99P/Kowal 1

2006年春に17.7等で観測できる。2007年春にも17.5等で観測できるが、やや高度が低くなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25  11 16.44    8 19.3   3.887   4.847   162   17.7  23:04 (180, 47)  
Apr.  1  11 13.36    8 33.3   3.919   4.841   154   17.7  22:34 (180, 46)  

* 119P/Parker-Hartley

2004年の秋に17等に達した。しばらく観測できなかったが、再び17等で条件良く観測できるようになっている。最近は18等と、予報より1等ほど暗く報告されている。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 25   7 15.72   17 10.2   3.040   3.421   103   17.9  19:29 (173, 38)  
Apr.  1   7 19.31   17  9.6   3.153   3.436    97   18.0  19:19 (169, 37)  

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