今週の明るい彗星 (2006年5月27日:北半球版)

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Updated on June 3, 2006
先週 南半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、北緯35度の地点での値です。

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* 73P-B/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には5等に達し、C核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに7.6等まで暗くなっている(5月31日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。6月中は、明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。現在はC核より少し暗くなっているが、まだ太陽に近いため、分裂を起こし、急増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   0 27.17   -0 38.2   0.126   0.955    59    6.7   3:07 (279, 12)  
June  3   1  1.75   -6 49.1   0.179   0.942    61    7.3   3:02 (282,  5)  

* 73P-C/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には6等に達し、B核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに7.3等まで暗くなっている(5月31日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。6月中は、明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   0 20.13   -2 42.7   0.148   0.953    62    6.9   3:07 (282, 12)  
June  3   0 55.01   -7 25.0   0.201   0.941    63    7.5   3:02 (284,  6)  

* 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

4月下旬から予想以上に急激に明るくなった。現在は9.8等に達している(5月30日、Juan Jose Gonzalez)。6月に最大光度となり、7月からは減光していくが、秋に暗くなるまで、ずっと夕空で観測できる。今後は、高度30度と、同じような位置に見え続ける。1995年、2001年と、連続して6等以上の大バーストを起こしているので、今後もさらに増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   8 46.00   24 38.2   1.062   1.070    62   10.2  20:47 ( 98, 34)  
June  3   9 14.83   23 42.4   1.034   1.055    61    9.8  20:53 ( 98, 32)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

冬から春にかけて、夕空で10等で見え続けたが、現在は観測不可能。8月下旬に再び13.5等で明け方の空に現れる。10月には高度も高くなり、眼視でも再び14等で見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   5  5.34   34 11.8   2.919   1.973    17   11.7  20:47 (134, -1)  
June  3   5 26.57   34 30.0   2.991   2.032    15   11.9  20:53 (136, -3)  

* 71P/Clark

5月26日に11.7等(Juan Jose Gonzalez)。今後、7月まで12等を保つ。近日点通過の頃に衝となり、最良の条件だが、9月までは、日本からの高度は13〜20度とたいへん低い。再び高くなる頃には14等以下となり、眼視では見えないだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  19 17.79  -30 47.2   0.658   1.566   137   12.1   3:01 (  0, 24)  
June  3  19 25.83  -32 33.8   0.630   1.563   142   12.0   2:41 (  0, 23)  

* 73P/Schwassmann-Wachmann 3 (fainter fragments)

4月から5月上旬にかけて、G核やR核など、いくつかの核が12〜14等まで明るくなり、眼視でも見えた。だが、5月中旬以降は、分裂核はいずれもたいへん暗く報告されている。すでに明け方の超低空となり、地球からも遠ざかりつつあるため、今後、分裂核が明るく見えることはなさそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   0 28.90    0  8.5   0.120   0.957    58   12.1   3:07 (278, 12)  
June  3   1  3.49   -6 36.1   0.173   0.943    60   12.7   3:02 (282,  5)  

* C/2004 B1 ( LINEAR )

現在は12.8等(5月25日、Juan Jose Gonzalez)。眼視では拡散状。最大で9等になると期待されていたが、かなり増光が鈍く、当初の予想より遥かに暗い。だが、大口径では明るく楽しめる。今後は秋まで条件良く観測できる。しばらく12等と明るく見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  18 17.38   19 53.1   1.358   2.146   129   12.3   2:02 (  0, 75)  
June  3  17 49.17   24  8.6   1.404   2.206   130   12.4   1:06 (  0, 79)  

* 45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova

今回は条件がたいへん悪く、日本からはまったく見えない。現在、南半球では明け方の低空に見えている。5月24日のMichael JagerとGerald Rhemannの写真では明るく写った。今後、急激に増光するが、急激に低くなる。6月中旬に10等になる頃には、低すぎて観測できなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   1 34.44    7  8.2   1.310   0.861    41   14.6   3:07 (263,  2)  
June  3   2 18.13   11 14.1   1.290   0.763    36   13.0   3:02 (257,  0)  

* C/2006 A1 ( Pojmanski )

2月末から3月初めにかけて、最大で5.2等に達した。急激に減光中だが、現在もまだ12.2等と、この予報より明るい(5月25日、Juan Jose Gonzalez)。但し、現在はかなり拡散している。日本からは、今後は暗くなるまでずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   1 53.67   67 14.7   2.335   1.872    51   13.3   3:07 (206, 29)  
June  3   2 10.06   68 17.2   2.438   1.975    51   13.8   3:02 (205, 30)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

2005年中はあまり増光しなかったが、2006年の初めには12〜13等と明るいことが多かった。現在は観測不可能。7月に再び明け方の空に現れ、秋から冬にかけて条件良く観測できるようになる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   3 16.61   26 22.6   6.788   5.811    14   13.9   3:07 (232, -5)  
June  3   3 22.64   26 45.5   6.764   5.813    18   13.9   3:02 (235, -2)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

昨年10月からずっと13.5等の明るさで見え続けている。小さく集光が強い。長期に渡って条件良く見られたが、今後は夕空に低くなり、7月には見えなくなる。だが、来年の冬には再び14.5等で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   9 58.43   44 14.7   5.415   5.203    72   13.9  20:47 (119, 53)  
June  3  10  3.56   43 14.4   5.501   5.207    67   13.9  20:53 (118, 48)  

* 4P/Faye

5月30日に15.5等(Ernesto Guido and Giovanni Sostero)と、予想通りに明るくなっている。現在はまだ明け方の空に低いが、今後は明け方の空に高くなりながら、急激に明るくなっていく。6月には14等となり、眼視で見え始めるだろう。秋から冬にかけて8.5等に達し、最高の条件で観測できる。2007年4月まで14等を保ち、長期に渡って眼視で見え続ける。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  23 19.69    3 12.3   2.401   2.328    73   14.9   3:07 (286, 27)  
June  3  23 30.83    4 25.3   2.285   2.287    77   14.6   3:02 (287, 30)  

* 102P/Shoemaker 1

前回の1999年は条件が悪く観測されなかったが、今回は近日点通過後に条件が良くなる。6月から8月にかけて14.5等に達するだろう。そろそろ明け方の空に昇って来る。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   0 49.61   10 32.1   2.465   1.976    50   14.8   3:07 (266, 13)  
June  3   1  2.25   13  6.2   2.409   1.974    53   14.7   3:02 (265, 17)  

* 117P/Helin-Roman-Alu 1

2005年の春には14等に達し、眼視でも13.8等で見えた(7月8日、Reinder J. Bouma)。2006年は、夏に再び同じような条件になる。やや低空だが、14等に達しそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  22 32.59  -18 53.6   2.920   3.136    92   15.3   3:07 (312, 20)  
June  3  22 37.67  -18 47.4   2.836   3.144    98   15.2   3:02 (316, 23)  

* C/2005 L3 ( McNaught )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って観測できる。2006年はまだ暗く、やや高度も低い。だが、2007年から2008年にかけて、14.5〜15等まで明るくなると予想されている。高度も高くなるので、眼視でも見えるようになるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  20 15.97  -24 40.3   6.406   7.033   124   16.1   3:07 (346, 29)  
June  3  20 11.29  -24 38.6   6.279   7.004   132   16.0   3:02 (353, 30)  

* 98P/Takamizawa

4月2日に15.5等(門田健一氏)と、意外に明るい。ただ、6月まではかなり高度が低い。暗くなり始めてから、ようやく高くなってくる。だが、過去にはバーストして肉眼彗星となったこともあるので、注意が必要。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  23 23.41   -8 16.2   1.784   1.846    77   16.1   3:07 (295, 19)  
June  3  23 36.06   -7 43.0   1.748   1.876    80   16.2   3:02 (297, 21)  

* C/2004 Q2 ( Machholz )

2004年1月上旬の最盛期には、3.5等、視直径30分角という巨大な姿が、頭上高く、たいへん明るく見えた。その後は次第に暗くなり、すでに眼視では見えなくなったが、CCDではまだ15.8等と明るい(3月30日、吉本勝己氏)。10月に18等以下になるまで、ずっと追跡できるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  16 30.93    3 18.9   4.906   5.841   155   16.1   0:15 (  0, 58)  
June  3  16 26.56    3 12.6   4.973   5.903   154   16.2  23:38 (  0, 58)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

2月9日には15.8等(門田健一氏)。来年春にかけて、長期に渡って16等で条件良く見られる。眼視では13.9等以下で見えなかった(3月31日、吉田誠一)。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  10 35.74   56 57.5   5.203   5.040    75   16.4  20:47 (143, 57)  
June  3  10 41.43   55 43.4   5.277   5.049    71   16.5  20:53 (138, 53)  

* C/2005 K1 ( Skiff )

2005年は、春から夏にかけて、CCDで16等、眼視でも14等で見えた。2006年も春から夏にかけて16.5等で観測できる。ただ、2005年よりはやや高度は低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  19 39.55   -8 42.6   3.333   4.049   129   16.6   3:07 (354, 46)  
June  3  19 35.30   -9 59.1   3.274   4.075   136   16.6   2:51 (  0, 45)  

* 174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2004年までは21等以下と極めて暗いセントール型の小惑星だった。だが、2005年12月30日に17.5等まで増光し、コマが観測され、彗星であることが判明した。1月7日には14.8等と、更に明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等で見えた(1月8日、吉田誠一)。4月16日にもまだ15.7等の明るさを保っている(津村光則氏)。現在は、バーストで放出された物質が核から離れて見える。一時的なバーストなので、近いうちに元通り、21等まで暗くなるだろう。近日点通過は2015年で、太陽に5.9AUまで近づくが、17等止まりだろう。だが、再びバーストを起こすかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  12 58.57   -4  8.2  12.140  12.809   129   16.8  20:47 (  3, 51)  
June  3  12 57.79   -4  3.7  12.221  12.796   122   16.9  20:53 ( 17, 50)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って16.5〜17等を保つ。北天を移動するため、2006年夏まで高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  13 32.02   65 26.7   6.794   6.834    87   16.8  21:12 (180, 60)  
June  3  13 26.57   64 18.7   6.843   6.838    85   16.8  20:53 (177, 61)  

* C/2005 B1 ( Christensen )

3月13日に16.0等(門田健一氏)。2005年の初めから約1年間16〜16.5等を保った。しばらく低かったが、今後は高くなっていく。秋に条件が良くなるまでは、17等を保つ。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27   0 34.90   54  3.7   3.842   3.325    52   16.8   3:07 (224, 35)  
June  3   0 42.92   54  9.6   3.826   3.343    54   16.8   3:02 (225, 37)  

* D/1986 W1 ( Lovas 2 )

1986年に発見された後、行方不明になっている。今回は条件が良く、計算上は、秋から冬にかけて14等に達する。但し、発見時は異常に増光していたようなので、この予報よりはるかに暗い可能性がある。日本からは、来年春に暗くなるまで、ずっと観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  18 22.35  -24  5.1   1.381   2.316   150   17.2   2:06 (  0, 31)  
June  3  18 18.61  -24  3.5   1.296   2.268   157   16.9   1:35 (  0, 31)  

* 2006 HR30

彗星のような軌道を持つ特異小惑星。来年1月に14等に達する。これから急激に明るくなっていく様子を、条件良く観測できる。今後、彗星に化けるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  22 34.33   -2 34.5   2.861   2.972    86   17.5   3:07 (300, 32)  
June  3  22 38.84   -1  9.7   2.700   2.907    91   17.4   3:02 (303, 36)  

* P/2004 VR8 ( LONEOS )

2004年11月に発見された時には18等と暗かったが、2005年初めにかけて、かなり急激に明るくなり、5月7日には16.0等に達した(門田健一氏)。明け方の空に再び現れて来た後もさらに増光し、11月22日には14.7等まで明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等と明るく見えた(3月29日、Maciej Reszelski)。だが、CCDではすでに16.6等まで暗くなっている(4月20日、津村光則氏)。日本からは、夏に暗くなるまで、ずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
May  27  13 17.42   11 22.4   2.410   3.112   125   17.4  20:58 (  0, 66)  
June  3  13 16.56   10 21.3   2.513   3.143   119   17.6  20:53 ( 14, 65)  

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