今週の明るい彗星 (2006年6月24日:北半球版)

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Updated on June 26, 2006
先週 南半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、北緯35度の地点での値です。

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* 45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova

今回は条件がたいへん悪く、日本からはまったく見えない。南半球では、6月6日に11.4等と、予報どおりに明るくなっている様子が観測された(Michael Mattiazzo)。だが、今回帰は、もう二度と見られない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   4 47.98   21  3.5   1.392   0.545    19    8.8   3:00 (239, -7)  
July  1   5 41.03   22 36.1   1.465   0.531    13    8.6   3:03 (234, -9)  

* 73P-C/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には6等に達し、B核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに7.8等まで暗くなっている(6月10日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。南半球では高く見えているが、日本では、6月中は明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   1 48.76  -11 20.5   0.360   0.972    72    8.9   3:00 (291,  9)  
July  1   2  0.18  -11 35.0   0.407   1.003    76    9.3   3:03 (294, 13)  

* 73P-B/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には5等に達し、C核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに8.5等まで暗くなっている(6月10日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。南半球では高く見えているが、日本では、6月中は明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。現在はC核より少し暗くなっているが、まだ太陽に近いため、分裂を起こし、急増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   1 51.87  -11 48.8   0.339   0.968    72    9.5   3:00 (291,  8)  
July  1   2  2.46  -12  9.1   0.386   0.998    76   10.0   3:03 (294, 12)  

* 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

4月下旬から予想以上に急激に明るくなった。現在は9.5等に達している(6月15日、Willian Souza)。6月に最大光度となり、7月からは減光していくが、秋に暗くなるまで、ずっと夕空で観測できる。今後は、高度30度と、同じような位置に見え続ける。1995年、2001年と、連続して6等以上の大バーストを起こしているので、今後もさらに増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  10 48.44   18 15.3   0.966   1.061    64    9.6  21:04 ( 92, 30)  
July  1  11 21.03   15 31.5   0.954   1.080    66    9.7  21:04 ( 89, 29)  

* 71P/Clark

現在、最も明るくなっており、11.0等に達している(6月15日、Willian Souza)。今後、7月まで11〜12等を保つ。近日点通過の頃に衝となり、最良の条件だが、9月までは、日本からの高度は13〜20度とたいへん低い。再び高くなる頃には14等以下となり、眼視では見えないだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  19 38.93  -37 58.6   0.587   1.571   156   11.9   1:32 (  0, 17)  
July  1  19 39.73  -39 31.5   0.588   1.580   159   11.9   1:05 (  0, 16)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

冬から春にかけて、夕空で10等で見え続けたが、現在は観測不可能。8月下旬に再び13.5等で明け方の空に現れる。10月には高度も高くなり、眼視でも再び14等で見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   6 25.74   34 23.4   3.206   2.219    11   12.4  21:04 (142, -7)  
July  1   6 43.83   34  5.1   3.274   2.284    10   12.6  21:04 (143, -9)  

* C/2004 B1 ( LINEAR )

現在は12.8等(6月5日、Juan Jose Gonzalez)。眼視では拡散状。最大で9等になると期待されていたが、かなり増光が鈍く、当初の予想より遥かに暗い。だが、大口径では明るく楽しめる。今後は秋まで条件良く観測できる。しばらく12等と明るく見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  16 31.90   30 55.8   1.706   2.391   120   13.0  22:20 (  0, 86)  
July  1  16 12.40   31 32.8   1.845   2.455   115   13.3  21:33 (  0, 87)  

* C/2006 L2 ( McNaught )

6月14日に発見されたばかりの新彗星。13.4等と明るく、眼視でも見えている(6月16日、Willian Souza)。日本からは夕方の空にやや低い。南半球では高く見えている。今後しばらく13等で見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  14 26.66  -32 26.1   1.891   2.665   130   13.1  21:04 ( 11, 22)  
July  1  14 18.75  -28 16.2   1.929   2.613   121   13.1  21:04 ( 20, 24)  

* 4P/Faye

6月13日に15.0等(Giovanni Sostero and Ernesto Guido)と、予想通りに明るくなってきている。今後は明け方の空に高くなりながら、急激に明るくなっていく。そろそろ眼視でも見え始めるだろう。秋から冬にかけて8.5等に達し、最高の条件で観測できる。2007年4月まで14等を保ち、長期に渡って眼視で見え続ける。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   0  4.13    8  0.3   1.946   2.166    88   13.6   3:00 (293, 41)  
July  1   0 15.15    9  8.7   1.836   2.127    91   13.3   3:03 (296, 46)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

2005年中はあまり増光しなかったが、2006年の初めには12〜13等と明るいことが多かった。現在は観測不可能。再び明け方の空に現れてきた。秋から冬にかけて条件良く観測できるようになる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   3 40.15   27 51.7   6.633   5.818    33   13.8   3:00 (243,  9)  
July  1   3 45.69   28 12.7   6.572   5.819    39   13.8   3:03 (245, 14)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

昨年10月からずっと13.5等の明るさで見え続けている。小さく集光が強い。長期に渡って条件良く見られたが、今後は夕空に低くなり、7月には見えなくなる。だが、来年の冬には再び14.5等で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  10 21.08   40 11.4   5.741   5.221    54   14.1  21:04 (119, 33)  
July  1  10 27.46   39 10.2   5.814   5.227    50   14.1  21:04 (119, 29)  

* 102P/Shoemaker 1

前回の1999年は条件が悪く観測されなかったが、今回は近日点通過後に条件が良くなる。6月から8月にかけて14.5等に達するだろう。明け方の空に昇って来たが、いまだに観測されていない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   1 39.88   20 50.8   2.240   1.979    62   14.6   3:00 (264, 29)  
July  1   1 52.28   23 25.6   2.185   1.984    65   14.6   3:03 (264, 34)  

* 117P/Helin-Roman-Alu 1

2005年の春には14等に達し、眼視でも13.8等で見えた(7月8日、Reinder J. Bouma)。2006年は、夏に再び同じような条件になる。やや低空だが、14等に達しそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  22 47.86  -19  0.5   2.596   3.172   115   15.1   3:00 (332, 31)  
July  1  22 49.39  -19 15.9   2.524   3.182   121   15.1   3:03 (340, 33)  

* 177P/2006 M3 ( Barnard 2 )

1889年以来、117年ぶりに再発見された。今回は発見時よりも地球に近づく。急激に北上し、日本からは9月まで12〜13等で条件良く観測できる。1889年の明るさから考えて、もっと明るくなる可能性もある。但し、地球に近づくために拡散して見えそう。6月25日には15.0等(Ernesto Guido and Giovanni Sostero)と、この予報より明るいようだ。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  17 42.54  -26 43.2   0.488   1.502   172   15.9  23:31 (  0, 29)  
July  1  17 31.43  -18 44.7   0.430   1.434   163   15.1  22:52 (  0, 37)  

* C/2005 L3 ( McNaught )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って観測できる。2006年はまだ暗く、やや高度も低い。だが、2007年から2008年にかけて、14.5〜15等まで明るくなると予想されている。高度も高くなるので、眼視でも見えるようになるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  19 53.88  -24 32.6   5.975   6.918   156   15.9   1:47 (  0, 30)  
July  1  19 47.16  -24 29.2   5.905   6.890   164   15.8   1:13 (  0, 31)  

* D/1986 W1 ( Lovas 2 )

1986年に発見された後、行方不明になっている。今回は条件が良く、計算上は、秋から冬にかけて14等に達する。但し、発見時は異常に増光していたようなので、この予報よりはるかに暗い可能性がある。日本からは、来年春に暗くなるまで、ずっと観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  17 59.47  -23 52.0   1.107   2.123   177   16.1  23:48 (  0, 31)  
July  1  17 51.51  -23 44.1   1.067   2.075   169   15.9  23:13 (  0, 31)  

* C/2004 Q2 ( Machholz )

2004年1月上旬の最盛期には、3.5等、視直径30分角という巨大な姿が、頭上高く、たいへん明るく見えた。その後は次第に暗くなり、すでに眼視では見えなくなったが、CCDではまだ15.8等と明るい(3月30日、吉本勝己氏)。10月に18等以下になるまで、ずっと追跡できるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  16 14.86    2 30.7   5.258   6.090   141   16.4  22:04 (  0, 57)  
July  1  16 11.70    2 10.0   5.378   6.151   136   16.5  21:34 (  0, 57)  

* 98P/Takamizawa

4月2日に15.5等(門田健一氏)と、意外に明るい。ただ、6月まではかなり高度が低い。暗くなり始めてから、ようやく高くなってくる。だが、過去にはバーストして肉眼彗星となったこともあるので、注意が必要。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   0  8.09   -6 47.9   1.638   1.974    93   16.5   3:00 (305, 30)  
July  1   0 16.54   -6 46.9   1.601   2.009    97   16.6   3:03 (310, 34)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

2月9日には15.8等(門田健一氏)。来年春にかけて、長期に渡って16等で条件良く見られる。眼視では13.9等以下で見えなかった(3月31日、吉田誠一)。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  11  0.94   51 57.0   5.489   5.079    61   16.6  21:04 (131, 43)  
July  1  11  8.05   50 41.2   5.555   5.090    58   16.6  21:04 (130, 39)  

* 2006 HR30

彗星のような軌道を持つ特異小惑星。来年1月に14等に達する。これから急激に明るくなっていく様子を、条件良く観測できる。今後、彗星に化けるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  22 48.63    3 29.3   2.231   2.710   107   16.8   3:00 (318, 51)  
July  1  22 50.28    5 11.7   2.082   2.644   112   16.6   3:03 (327, 56)  

* C/2005 K1 ( Skiff )

2005年は、春から夏にかけて、CCDで16等、眼視でも14等で見えた。2006年も春から夏にかけて16.5等で観測できる。ただ、2005年よりはやや高度は低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  19 18.12  -14 20.7   3.179   4.156   161   16.7   1:12 (  0, 41)  
July  1  19 11.37  -15 54.5   3.180   4.184   169   16.7   0:37 (  0, 39)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って16.5〜17等を保つ。北天を移動するため、2006年夏まで高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  13 17.33   60 31.3   7.001   6.855    77   16.9  21:04 (153, 58)  
July  1  13 16.30   59 10.8   7.056   6.861    74   16.9  21:04 (147, 56)  

* C/2005 B1 ( Christensen )

3月13日に16.0等(門田健一氏)。2005年の初めから約1年間16〜16.5等を保った。しばらく低かったが、今後は高くなっていく。秋に条件が良くなるまでは、17等を保つ。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24   1  0.74   54 26.5   3.729   3.405    63   16.9   3:00 (225, 46)  
July  1   1  4.41   54 30.4   3.682   3.428    67   16.9   3:03 (225, 50)  

* P/2006 H1 ( McNaught )

明け方の空で高く見えるようになってきている。今後は10月まで17等で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  23 42.63  -11 14.7   2.042   2.443   100   17.1   3:00 (314, 31)  
July  1  23 48.18  -10 25.5   1.977   2.455   105   17.1   3:03 (320, 35)  

* P/2005 L1 ( McNaught )

2005年夏には17等で観測された。2006年夏に再び17等に達するだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  22 52.96   -8 11.3   2.751   3.255   110   17.3   3:00 (325, 40)  
July  1  22 54.77   -8 15.7   2.671   3.263   117   17.3   3:03 (333, 43)  

* 174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2004年までは21等以下と極めて暗いセントール型の小惑星だった。だが、2005年12月30日に17.5等まで増光し、コマが観測され、彗星であることが判明した。1月7日には14.8等と、更に明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等で見えた(1月8日、吉田誠一)。4月16日にもまだ15.7等の明るさを保っている(津村光則氏)。現在は、バーストで放出された物質が核から離れて見える。一時的なバーストなので、近いうちに元通り、21等まで暗くなるだろう。近日点通過は2015年で、太陽に5.9AUまで近づくが、17等止まりだろう。だが、再びバーストを起こすかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  12 56.76   -3 58.8  12.502  12.758   102   17.4  21:04 ( 47, 39)  
July  1  12 56.87   -4  0.1  12.604  12.745    95   17.5  21:04 ( 53, 35)  

* C/2005 S4 ( McNaught )

木星よりも遠くにあるため、2008年まで長期に渡って16.5〜17.5等を保つ。2006年は、11月まで条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 24  22  3.71  -16 51.8   5.824   6.462   125   17.4   3:00 (343, 36)  
July  1  21 59.36  -16 41.0   5.709   6.442   132   17.4   3:03 (353, 38)  

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