Comet for Windows チュートリアル

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Updated on October 2, 2004

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    いろいろな彗星の光度変化    

o 発見されたばかりの彗星の光度式を求める

発見されたばかりの新彗星が、これからどのくらい明るくなるのか、を予想するためには、光度式を計算します。

しかし、発見されたばかりの彗星は、観測の期間が短いため、「ヘール・ボップ彗星の光度解析」に書かれているような方法では、正しい光度式を求められません。

例えば、2004年8月に発見されたマックホルツ彗星の、発見されたばかりの光度変化は、次のようになりました。

ここで、メニューの「設定」−「計算」を選び、「光度式の計算」ダイアログを開いて、光度式を計算すると、

m1 = -7.77 + 5 logΔ + 43.28 log r

という光度式が求められました。

この光度式をグラフに描くと、次のようになります。

しかし、これは正しくありません。

このように、観測データが少ない場合は、log r の係数を 10 と仮定して、光度式を計算する必要があります。

まず、メニューの「設定」−「計算」を選び、「光度式の計算」ダイアログを開きます。 そして、「光度を計算する」ボタンを押します。すると、次のようなダイアログが開きますので、「彗星(傾きを固定)」を選び、「log rの係数」に10と入力します。

OKボタンを押すと、「光度式の計算」ダイアログの「計算式」の欄に、log r の係数を10と仮定した光度式が表示されます。 ここでは、次のような光度式が求められました。

m1 = 5.20 + 5 logΔ + 10.0 log r

この光度式をグラフに描くと、次のようになります。

マックホルツ彗星は、最大で4等になるだろうと予想できました。

o 小惑星の光度式を求める

彗星の中には、活動をほとんどやめてしまい、小惑星のようになってしまったものがあります。 そうした彗星の場合は、小惑星としての光度式を当てはめる必要があります。

例えば、107P/Wilson-Harrington という彗星は、小惑星4015番としても知られています。 この彗星の光度変化は、次のようになります。 彗星としての光度曲線を緑色で描いてありますが、まったく一致していません。

そこで、小惑星としての光度式を求めます。

まず、メニューの「設定」−「計算」を選び、「光度式の計算」ダイアログを開きます。 そして、「光度を計算する」ボタンを押します。 すると、次のようなダイアログが開きますので、「小惑星」を選びます。

OKボタンを押すと、「光度式の計算」ダイアログの「計算式」の欄に、小惑星としての光度式が表示されます。 ここでは、次のような光度式が求められました。

H = 16.9 G = 0.15

この光度式をグラフに描くと、次のようになります。

観測結果に一致することが分かります。

o 最大光度となる時期がずれている彗星の光度式を求める

一般的に、彗星は太陽に最も近づいた時に、最も明るくなります。 しかし、周期彗星の中には、太陽に近づいた後、しばらくしてから、太陽から遠ざかりつつある時に、最も明るくなるタイプの彗星があります。

そうした彗星の光度変化を表すために、Δt日前の日心距離を使って光度を計算する、という方法があります。 もし、彗星が近日点通過から30日後に最大光度となるのであれば、30日前の日心距離を使って計算する訳です。

その光度式は、次のようになります。

m1 = m0 + 5 logΔ + k log r(t - Δt)

例えば、6P/d'Arrest という彗星も、そういったタイプの彗星の1つです。 この彗星の光度変化は、次のようになります。 ふつうの彗星としての光度曲線を緑色で描いてありますが、近日点通過前の光度はまったく一致していません。

そこで、Δt日前の日心距離を使った光度式を求めます。

まず、メニューの「設定」−「計算」を選び、「光度式の計算」ダイアログを開きます。 そして、「光度を計算する」ボタンを押します。 すると、次のようなダイアログが開きますので、「彗星(近日点通過の前後に最大光度)」を選びます。

最大光度となる時期を検索する範囲も指定します。 ここでは、近日点通過から2ヶ月くらいで最大光度となっていますので、0日〜120日の範囲で検索することにします。

OKボタンを押すと、「光度式の計算」ダイアログの「計算式」の欄に、Δt日前の日心距離を使った光度式が表示されます。 ここでは、次のような光度式が求められました。 近日点通過の72日後に最大光度となっていることが分かります。

m1 = 5.13 + 5 logΔ + 38.07 log r(t - 72)

この光度式をグラフに描くと、次のようになります。

観測結果に一致することが分かります。

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