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地球最接近に際して

上記のとおり、この期間が百武彗星を見る上で中心となるだろうと思われる。 この期間の彗星の位置は4,5ページにある。 北極星に近づく27日頃までは未明の2時半くらいに南中し、日毎に北上していく。 27〜28日頃はいったん周極星となるが、すぐに夕空に回り、その後は条件がどん どん悪くなる。

前節で述べた tex2html_wrap_inline30 の係数の話は地球に近づく時には関係ないので、現時点で の明るさから考えて、最接近時には0〜1等級になるのは確実と思われる。 よって、よほど観測条件の悪いところで見ない限り、肉眼ではっきりと認識でき るであろうし、双眼鏡があれば充分である。 逆に、既に地心距離が0.3AU程で視直径が30′程度あるので、0.1AUまで接近した 時には1〜2°程度にまで広がって、望遠鏡ではかえって小さく見えてしまうかも しれない。 だが、中央集光は強いので、拡散して淡くなることはあまりないと思われる。

位置推算表を見ても分かるとおり、この期間中には彗星の光度が激変する。 また、地心距離、つまり大きさも同じく激変する。 さらには、25日の最接近までは我々は彗星を正面から眺めていて、そのため尾も 短いが、25〜28日にかけては尾を間近に横から眺めることになり、急に長大な尾 が見えるかもしれない。 しかも29日には地球が彗星軌道面を通過し、尾がもっとも濃く見えることになる。 いずれにしても、今日から4月始めまでの約20日間は、できるだけ毎日見ること をお勧めする。

最後に、この彗星の地球接近に際して、流星群の出現予報が出されている。極大 日は25日で、輻射点は tex2html_wrap_inline32 で、てんびん 座の南である。 この時彗星はほぼ天頂に位置しているが、流星観測者としては南の空からの流星 にも注意しておきたい。 ただし、軌道までの距離が0.1AUを越えるため、出現の可能性はかなり低い。

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Tue Nov 12 02:06:18 JST 1996