MISAO Project

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1999年4月19日

    新変光星 (MisV0001-0004)    

MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (1999年4月19日)

MISAOプロジェクトの吉田誠一です。

4月3日発行のアナウンスメイルで新変光星 MisV0001 について報告しましたが、 その後、清田誠一郎氏より、この天体の過去の観測結果をお送り頂きました。 その後の上尾サーベイチームの観測と合わせて、この天体の光度変化をまとめ ますと、次のようになります。

1996年3月
<16V大宇陀観測所
1998年3月9日14.94Rc清田誠一郎


15日14.62Rc清田誠一郎


17日15.08Rc清田誠一郎

4月2日<14.74Rc清田誠一郎

5月20日<14.74Rc清田誠一郎

6月17日14.56:Rc清田誠一郎 (不確か)

9月13日<14.74Rc清田誠一郎
1999年2月5日17.56:Rc清田誠一郎


12日16.9CCD門田健一

3月5日16.47:Rc清田誠一郎


12日16.19:Rc清田誠一郎


22日15.0CCD門田健一


31日14.1CCD門田健一



14.0R60門田健一

4月4日14.1CCD門田健一


7日13.77Rc清田誠一郎

また、鈴木雅之氏によると、1987年5月3日に撮影されたReal Skyの画像にも、 この天体がかすかに写っているとのことです。

これまでの結果から、MisV0001は、CCD光度でおよそ14等から17.5等までの範 囲を、約1年の周期で変動している変光星であると推定されます。1999年3月下 旬に、ちょうど急増光してきたところを発見されたことになります。

MisV0001の発見以降、これまでに更に3個の新変光星が発見されています。

Code     R.A. (J2000.0) Decl.  Max    Min   ID               
------------------------------------------------------------
MisV0001 175226.59 -174000.7  14.1C  16.9C  
MisV0002 072403.56 +412602.0  13.3C  14.7C  GSC2965.0210 USNO1275.06972791
MisV0003 175244.93 -172401.4  12.5C  13.4C  
MisV0004 175313.59 -172844.2  12.1C  13.3C  

このうち、MisV0003 と MisV0004 の2つは、桜井天体や MisV0001 と同じ画 像から発見されたものです。桜井天体からの距離は、2分角(MisV0001)、17分 角(MisV0003)、16分角(MisV0004)です。つまり、これだけの狭い領域の中を、 2カ月ほど調査しただけで、3個もの未知の変光星が発見されたことになります。

CCDでは、ミラ型の星が写真や眼視に比べて2〜3等ほど明るく写ります。その ため、これまでに発見されてこなかった、極大が14〜16等程度の暗い変光星が、 CCDでは明るく写って発見される可能性がかなりあると思われます。

MisV0002 は、上尾サーベイチームの門田健一氏が、1998年12月9日から20日に かけて、300mmレンズもしくは18cm反射望遠鏡で52P/Harrington-Abell彗星を 撮影した画像から検出された変光天体です。PIXYシステムで測定した光度を調 べた結果、12月17日だけ、約1等ほど暗くなっていることが発見されました。 翌日には通常の光度に戻っているので、食変光星の可能性があります。

これ以外にも、上尾サーベイチームの画像から、赤経17h59m48s.2、赤緯 -31o16'03"に、10.5等から8.3等まで増光している天体を検出しました。

  1999年 1月29日  10.5等
         2月20日   8.4等
         3月12日   8.3等

既知の変光星を検索すると、以下の2つが見つかりました。

V1725 SGR       93.2"
V1725 SGR  R.A.=17 59 41.30  Decl.=-31 16 32.4  13.0 - <15.2 mag (P)
type:M  Epoch=28415  Period=380  Sp:M7

IRAS 17565-3115 7.9"
IRAS 17565-3115  R.A.=17 59 47.60  Decl.=-31 16 05.0  (41 x 7", p.a.=91)
flux(12)=26.49  flux(25)=11.61  flux(60)=2.09  flux(100)=<15.18
93% variable

V1725 Sgr は、GCVSに記述されている位置と検出された位置が、1.5分角も離 れています。しかし、GCVSに記述されている位置には、それらしい星像があり ません。そのため、この変光天体は V1725 Sgr で、GCVSの位置が不正確であっ たと判明しました。

P.S.
過去のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルは

http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/index-j.html
で閲覧できます。

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吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
seiichi@muraoka.info.waseda.ac.jp  GFB03015@nifty.ne.jp
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