MISAO Project

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1999年5月5日

    最近発見された明るい新天体とのニアミス    

MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (1999年5月5日)

MISAOプロジェクトの吉田誠一です。

2月から4月にかけて、いくつかの明るい新星、彗星、地球接近小惑星が発見さ れました。MISAOプロジェクトの画像に、これらの天体が写っていないかどう かを調査した結果をご紹介します。

2月から4月にかけて、15等より明るくなった新天体には、以下のようなものが あります。このうち、いて座新星1999と1999 GU3の2天体は、惜しくも写野1個 ほどずれた位置を撮影していました。

  • 新星
    • いて座新星1999
  • 彗星
    • C/1999 H1 ( Lee )
    • C/1999 H3 ( LINEAR )
  • 地球接近小惑星
    • 1999 BJ8 (cf. M.P.E.C. 1999-C27)
    • 1999 CV3 (cf. M.P.E.C. 1999-C25)
    • 1999 FA (cf. M.P.E.C. 1999-F08)
    • 1999 GU3 (cf. M.P.E.C. 1999-G22)
    • 1999 HF1 (cf. M.P.E.C. 1999-H17)

調査結果を載せる前に、表の見方を解説します。天体が写野内に収まっている 場合は、画像上の(x,y)座標と、極限等級、及び画像ファイル名が出力されて います。彗星や小惑星の場合は、画像の撮影時刻に於ける赤経赤緯も出力され ます。

例:いて座新星1999
(x,y)               Lm.   Image
( 170.84,  509.28)  11.9  19990220/180mm/1800-2600-none-01.mtf

この例では、2月20日に180mmレンズで撮影した 「19990220/180mm/1800-2600-none-01.mtf」という画像の、(170,509)の座標 に、いて座新星が存在する、という意味になります。

天体が写野からわずかに外れている場合は、(x,y)座標の代わりに、画像がど れくらいずれていれば写野内となったかを示す数値が、横方向、縦方向それぞ れに対して出力されます。この値が0.0である時は、その方向にはずらす必要 がないことを表しています。

  
例:1999 GU3
R.A.        Decl.        (x,y)               Lm.   Image
09 20 06.48 -22 51 47.9  [  -0.6 ,    0.0 ]  12.0  19990328/180mm/0900-2000-none-02.mtf

この例では、3月28日に180mmレンズで撮影した 「19990328/180mm/0900-2000-none-02.mtf」という画像を、左に画像0.6個分 ずらしていれば、天体が写野内に入っていた、という意味になります。

●いて座新星1999

4月25日に、8.6等の明るさで発見された新星です。4月20日には14.2等以下で した。MISAOプロジェクトの画像を調べた結果は次の通りでした。

(x,y)               Lm.   Image
( 170.84,  509.28)  11.9  19990220/180mm/1800-2600-none-01.mtf
( 171.19,  509.23)  11.9  19990220/180mm/1800-2600-none-02.mtf
( 157.54,  121.63)  11.6  19990220/180mm/1800-2800-none-01.mtf
( 157.32,  121.57)  11.9  19990220/180mm/1800-2800-none-02.mtf
[  -0.7 ,    1.8 ]  14.6  19990408/530mm/1800-2400-none-01.mtf
[  -0.7 ,    1.8 ]  14.2  19990408/530mm/1800-2400-none-02.mtf
[  -0.7 ,    1.2 ]  15.0  19990408/530mm/1800-2500-none-01.mtf
[  -0.7 ,    1.2 ]  15.0  19990408/530mm/1800-2500-none-02.mtf
[  -0.7 ,    0.5 ]  14.8  19990408/530mm/1800-2600-none-01.mtf
[  -0.7 ,    0.0 ]  14.3  19990408/530mm/1800-2700-none-01.mtf
[  -0.7 ,    0.0 ]  14.5  19990408/530mm/1800-2700-none-02.mtf
[  -0.6 ,    0.0 ]  13.3  19990408/530mm/1800-2800-none-01.mtf
[  -0.6 ,    0.0 ]  13.3  19990408/530mm/1800-2800-none-02.mtf
[  -0.6 ,   -0.5 ]  12.3  19990408/530mm/1800-2900-none-01.mtf
[  -0.6 ,   -0.5 ]  12.3  19990408/530mm/1800-2900-none-02.mtf
[  -0.6 ,   -1.2 ]  12.9  19990408/530mm/1800-3000-none-01.mtf
[  -0.6 ,   -1.2 ]  12.8  19990408/530mm/1800-3000-none-02.mtf
[   0.0 ,    1.6 ]  11.7  19990414/M8-530-none-01.mtf

2月20日に撮影した画像の写野内でしたが、時期が早すぎるので写ってはいま せん。4月8日に捜索を行った際には、ちょうど写野の半分ほど横にずれた位置 を撮影していました。あと写野0.6個分左を撮影していると範囲内でした。ま た、14日には写野1個半ほど上を撮影していました。ですが、この新星は20日 に14.2等以下でしたので、写野内だったとしても写ってはいなかったでしょう。

●C/1999 H1 ( Lee )

4月16日に9等で発見された彗星ですが、南天のため、MISAOプロジェクトでは 画像がありませんでした。

●C/1999 H3 ( LINEAR )

4月22日に発見された新彗星です。約14.5等の明るさで観測されています。し かし、MISAOプロジェクトでは、14.0等まで写っている画像で、この彗星の近 くを撮影したものはありませんでした。

●1999 BJ8

2月中旬に地球に接近して14等級まで明るくなった小惑星です。14.0等まで写っ ている画像で、この天体の近くを撮影したものはありませんでした。

●1999 CV3

2月中旬に地球に接近して12等級まで明るくなった小惑星です。12.0等まで写っ ている画像で、この天体の近くを撮影したものはありませんでした。

●1999 FA

3月上旬に地球に接近して13等級まで明るくなった小惑星です。12.0等まで写っ ている画像で、この天体の近くを撮影したものはありませんでした。

●1999 GU3

4月10日に発見された小惑星です。4月中旬に地球に接近して12等級まで明るく なりました。MISAOプロジェクトの画像を調べた結果は次の通りでした。

R.A.        Decl.        (x,y)               Lm.   Image
09 20 06.48 -22 51 47.9  [  -0.6 ,    0.0 ]  12.0  19990328/180mm/0900-2000-none-02.mtf
09 20 06.84 -22 51 44.6  [  -0.6 ,    0.0 ]  11.7  19990328/180mm/0900-2000-none-01.mtf
09 20 07.40 -22 51 39.4  [  -0.6 ,    0.6 ]  12.1  19990328/180mm/0900-1800-none-01.mtf
09 20 07.74 -22 51 36.2  [  -0.6 ,    0.6 ]  11.9  19990328/180mm/0900-1800-none-02.mtf
12 07 39.81 +08 53 19.4  [   0.8 ,    0.8 ]  12.3  19990407/180mm/1230+1400-none-01.mtf
12 07 41.62 +08 53 40.3  [   0.8 ,    0.8 ]  12.4  19990407/180mm/1230+1400-none-02.mtf
12 07 43.77 +08 54 05.4  [   0.8 ,    0.0 ]  11.9  19990407/180mm/1230+1200-none-01.mtf
12 07 45.78 +08 54 28.8  [   0.8 ,    0.0 ]  12.0  19990407/180mm/1230+1200-none-02.mtf
12 07 47.96 +08 54 54.1  [   0.8 ,    0.0 ]  12.4  19990407/180mm/1230+1000-none-01.mtf
12 07 49.72 +08 55 14.6  [   0.8 ,    0.0 ]  12.1  19990407/180mm/1230+1000-none-02.mtf
12 07 51.76 +08 55 38.2  [   0.8 ,    0.0 ]  11.8  19990407/180mm/1230+0800-none-01.mtf
12 07 53.77 +08 56 01.7  [   0.8 ,    0.0 ]  11.8  19990407/180mm/1230+0800-none-02.mtf
12 07 56.85 +08 56 37.5  [   0.8 ,    0.0 ]  12.2  19990407/180mm/1230+0600-none-01.mtf
12 07 58.61 +08 56 57.9  [   0.8 ,    0.0 ]  12.2  19990407/180mm/1230+0600-none-02.mtf
12 08 01.55 +08 57 32.1  [   0.8 ,   -0.6 ]  12.7  19990407/180mm/1230+0400-none-01.mtf
12 08 03.43 +08 57 53.9  [   0.8 ,   -0.6 ]  12.6  19990407/180mm/1230+0400-none-02.mtf
12 08 05.49 +08 58 17.9  [   0.7 ,    1.1 ]  12.6  19990407/180mm/1230+1600-none-01.mtf
12 08 07.37 +08 58 39.7  [   0.7 ,    1.1 ]  12.3  19990407/180mm/1230+1600-none-02.mtf

発見される直前に捜索を行っていましたが、わずかに写野1個分弱ほどず れた位置を撮影していました。特に、4月7日には、写野をあと1個分右にずら していれば、この小惑星が写ったのではないかと思われます。

●1999 HF1

4月中旬に地球に接近して14等級まで明るくなった小惑星です。14.0等まで写っ ている画像で、この天体の近くを撮影したものはありませんでした。

P.S.
過去のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルは

http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/index-j.html
で閲覧できます。

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吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
seiichi@muraoka.info.waseda.ac.jp  GFB03015@nifty.ne.jp
http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/index-j.html

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