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    USNO-A2.0を使った光度測定の問題    

このページでは、CCDで撮影した天体の光度をUSNO-A2.0を使って測定する場合の問題点について、例を挙げて紹介します。

CCDで天体を撮影した時に、天体の光度を、USNO-A2.0に載っている光度と比較して測定することがあります。 USNO-A2.0には、赤バンドでのR光度と、青バンドでのB光度が記載されていますが、通常のCCDは赤い光に高い感度がありますから、R光度と比較して光度を測定していることが多いと思われます。 しかし、USNO-A2.0の光度は誤差が大きく、正確な光度が求められません。 場合によっては、真の光度から2等もずれた、誤った光度が求められてしまうこともあるのです。

ここでは、そうした一例を紹介します。

この画像は、門田健一氏が撮影した、赤経21時、赤緯+44度付近の、ノーフィルターCCD画像です。

この領域の星図を、USNO-A2.0のR光度を使って作成すると、次のようになります。

一見して、USNO-A2.0では多くの星が欠落していることが分かります。 また、最も明るいいくつかの星の配列は、すぐに画像の星と一致することができますが、その周囲の星を見比べても、なかなか画像と星図との対応を見つけられないと思います。

この画像に写っている星の明るさを、USNO-A2.0のR光度を使って測定した場合と、Tycho Catalogueを使って、

星の光度の測り方
http://www.aerith.net/misao/pixy/tutorial/photometry-j.html

に書いてある方法で正しい光度を求めた場合とを比較します。

まず、PIXYシステム2を使って、USNO-A2.0を基に画像の検査を行い、Tycho Catalogueとの同定を行いました。 次に、メニューの「Photometry」を選び、2つのカタログを使って光度測定を行い、残差テーブルを表示しました。

USNO-A2.0のR光度と単純な比較をして星の光度を測定した結果は、次の通りになりました。

1ピクセルカウントあたり22.63等となりました。 100カウントの星であれば、明るさは17.63等となります。 全体の誤差が1.54等とばらつきが大きく、USNO-A2.0の光度の精度が良くないことが分かります。

一方、Tycho Catalogueを使って、使用したCCDチップ(KAF-1600)の特性に合わせた光度を求めた結果は、次の通りになりました。

1ピクセルカウントあたり20.67等となりました。 100カウントの星であれば、明るさは15.67等となります。

2つの結果を比べると、星の測定光度には2等もの大きな差が生じてしまいました。 つまり、この領域の場合は、USNO-A2.0のR光度を使って光度を求めると、真の値よりも2等も暗い測定結果となってしまうことが分かります。

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