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ミラ型変光星V2010 Cygに隣接する、もう1つの新しいミラ型変光星MisV13402006年1月22日吉田誠一、大倉信雄、門田健一、Brian Skiff、John Greaves MISAOプロジェクトの吉田誠一は、岡山県岡山市の大倉信雄氏と、埼玉県上尾市の門田健一氏が撮影した画像から、新しいミラ型変光星MisV1340を発見しました。 この星は、Lennart Dahlmark氏が発見したミラ型変光星V2010 Cygに隣接しています。 MISAOプロジェクトでは、2000年には、この新変光星の変光に気づいていました。しかし、この星は、V2010 Cyg = LD 162 という、13.0〜<15.2(V)等のミラ型の変光星の位置と極めて近いものでした。 実は、この星は、南北に20秒角離れた、似たような明るさの二重星の、北側の星です。そして、南側の星が、V2010 Cyg = LD 162 とされています。 2000年当時のシステムの測定値では、MISAOプロジェクトの画像では、南側の星は変光していないように思われました。そこで、V2010 Cyg の同定が間違っており、変光星は南側ではなく北側の星である、と考えました。即ち、下記の同定が成立する、と考えました。 MISAOプロジェクトで見つけた変光星 = V2010 Cyg = LD 162 この同定については、John Greaves氏やBrian Skiff氏から、IBVSの情報やコメントを頂きました。 Dahlmarkの発見論文(IBVS 3855)に掲載されている座標は不正確ですが、星図では、南側の星が変光星だと示されています。 南側の星は、USNO-A1.0 1200.14807721 (R.A. 20h09m44s.155, Decl. +31o58'49".18) です。Skiff & Williamsの改訂論文(IBVS 4450)では、V2010 Cyg の正確な位置として、このUSNO-A1.0の位置が掲載されています。 しかし、元の星図は解像度が良くなく、また、DSS2の1991年と1992年のR画像を見比べても北側の星だけ変光しているように見えることから、発見論文の星図のマークが誤っており、本当は北側の星が変光星である可能性は高いように思われました。 そのため、2000年には、この星は新変光星としては発表しませんでした。代わりに、V2010 Cygの位置改訂を報告しました [vsnet-id 299]。 しかし、2006年になって、この同定は間違いだと判断しました。つまり、この二重星は、どちらも変光星であり、そして、V2010 Cyg の元々の位置は正しく、我々が見つけた北側の星は新しい変光星である、と判断しました。 その理由は、下記の通りです。 最新のシステムでの測定値を見直してみると、南側の星も、測定値には少し差があります。即ち、この二重星の、双方の変光が捉えられている可能性が高いです。ただ、解像度の限界に近いため、この差が有意なものか、MISAOプロジェクトの画像だけでは断言はできません。 2MASSの画像では、この二重星は明るく写っています。北側の星は、赤外線カタログMSX5Cに掲載されています。南側の星は、USNO-A2.0の色はB-R=4.6等とかなり赤いです。即ち、この二重星は、どちらも赤い変光星の可能性が高いです。 NSVSでは、この位置から下記のミラ型変光星が検出されています。
この位置は、この南北の二重星のちょうど中央になります。即ち、NSVSでは、二重星を分離できず、合成光度を測定したことになります。その光度曲線が下記で見られます。 http://skydot.lanl.gov/nsvs/star.php?num=8484079&mask=32004 http://skydot.lanl.gov/nsvs/star.php?num=8467488&mask=32004 ミラ型の変光をしていますが、最初のピークと後のピークを比べると、極大光度に大きな差があり、カーブが非対称になっています。これは、2つの星がそれぞれミラ型の変光をしている影響かもしれません。 Skiff氏は、Dahlmark氏の星図を調べ直し、明らかに南側の星が指し示されていることを確認しました。 これらの事実から、下記の2つの結論が導かれます。
よって、我々は、二重星の北側の星を、ミラ型変光星V2010 Cygに隣接する、もう1つの新しいミラ型変光星MisV1340として発表します。 |