吉田誠一の彗星観測日記(2003年)

English version
Home page
Updated on May 9, 2006

---------------------------------------------------------------------

2004年の吉田誠一の彗星観測日記へ

---------------------------------------------------------------------

* 2003年12月14日(観測した彗星:3個)

筑波山での彗星観測です。

やけに流星が飛ぶと思ったら、ふたご群の極大なのですね。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11.3等   視直径1.1分   DC 5   (25.4cm シュミカセ 128倍)

集光はあるようですが、ひじょうにかすかにしか見えません。43P より見づらいので、急に暗くなってしまったかと思ったのですが、測定光度は12日前とまったく同じになりました。どうやら、ちょうど月が出た影響があったようです。

C/2002 T7 ( LINEAR )

9.2等   視直径2.5分   DC 7   4.5分(位置角85度)   (25.4cm シュミカセ 32倍)

尾が伸びて、だいぶ大彗星らしい姿になってきました。しかし、測定光度は、3週間前からまったく同じで停滞しています。

43P/Wolf-Harrington

12.4等   視直径0.9分   DC 4   (25.4cm シュミカセ 128倍)

今回帰の初見、6年ぶりの再会です。暗いですが、目が慣れて来ると存在が分かります。この彗星、これから春まで同じ明るさを保ちますが、まだ高い今のうちがチャンスと思います。なお、一度見た彗星が回帰して再び観測できたのは、今回が初めてとなりました。

* 2003年12月2日(観測した彗星:2個)

筑波山での彗星観測です。

また新しいアイピース(12.5mm)のデビューとなりました。これまた、以前より格段に見かけ視界が広くなり、見やすくなりました。

半月に近く、条件が悪い C/2001 HT50 で、アイピースの差をずいぶん感じました。従来のアイピース(13.8mm)だと、まず、見かけ視界が狭いので、導入で迷子になりやすいです。また、コントラストも劣るようで、従来のものだとC/2001 HT50 はかろうじて見える?見えない?という程度でしたが、新しいものだとちゃんと目測できるくらいには見えました。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11.3等   視直径1.1分   DC 5   (25.4cm シュミカセ 128倍)

目測は、10日前よりずいぶん小さく暗くなりましたが、月明の影響がありそうです。ただ、この条件でも彗星の存在は直視で分かるので、まだ良く集光はしているようです。

C/2002 T7 ( LINEAR )

9.2等   視直径1.4分   DC s6   6分(位置角100度)   (25.4cm シュミカセ 67倍)

思っていたより遥かにすごいです。きれいな尾が伸びて、たいへんに美しい姿に見えました。低倍率だと、尾も含めた全体が、視直径の大きな彗星の姿に見えます。

* 2003年11月21日〜22日(観測した彗星:2個)

筑波山での彗星観測です。

冬型になるので、2P/Encke を見ようと期待していたのですが、残念ながらあまり晴れませんでした。

両日ともに雲の往来が多く、特に21日は15分ほどしか晴れず、湿気も多かったので、大変でした。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11月22日   10.6等   視直径2.0分   DC 5   (25.4cm シュミカセ 67倍)

典型的な小彗星の姿です。測定光度は先月と同様、10等半ばになりましたが、印象は11等です。

C/2002 T7 ( LINEAR )

11月21日   9.5等   視直径1.6分   DC 7〜8   ?度   (25.4cm シュミカセ 67倍)

11月22日   9.2等   視直径1.9分   DC 7   ?度   (25.4cm シュミカセ 67倍)

約1ヵ月ぶりですが、ぐんと明るく大きくなってきました。相変わらず集光が強いです。東側に尾が伸びているように見えました。

* 2003年10月29日(観測した彗星:3個)

筑波山での彗星観測です。

新しいアイピースのデビューとなりました。以前より格段に見かけ視界が広くなり、見やすくなりました。彗星自体の見え方も、少しだけ良く見えるようになった気がします。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

10.5等   視直径1.9分   DC 5〜6   (25.4cm シュミカセ 67倍)

ずいぶんはっきり見えるようになってきました。集光は、強いようにも感じますが、その一方で淡く大きく広がっているような感じもして、吉本勝己さんが「D6」としているのも分かる気がしました。測定光度は10.5等になりましたが、これまでの10等半ばの彗星よりは、ちょっと暗く感じました。

C/2002 T7 ( LINEAR )

10.4等   視直径1.3分   DC 7   (25.4cm シュミカセ 67倍)

1ヵ月ぶりですが、ぐんと明るくなってきていました。集光が強く、明るい割にあまり大きくなく、小さくまとまった印象です。

2P/Encke

10.7等より暗い   視直径3分   (25.4cm シュミカセ 67倍)

見えませんでした (;_;) まず、29.57日(UT)に探してみましたが、見えませんでした。後で調べてみると、この時間は二重星に近すぎたようです。2彗星の観測を終えた後でもう一度試してみましたが、やはり見えませんでした。この時間には、恒星からは充分離れていたようですので、not seen で報告します。

* 2003年9月27日(観測した彗星:2個)

栃木県八方ヶ原での彗星観測です。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11.6等   視直径1.7分   DC 4   (25.4cm シュミカセ 62倍)

たいへん淡くかすかです。低倍率の方が良く見えます。

C/2002 T7 ( LINEAR )

11.7等   視直径1.3分   DC 6〜7   (25.4cm シュミカセ 133倍)

かなり明るく感じます。集光がしっかりしているので、楽勝で見えます。西に尾がある感じがしますが、今回は長さを感じませんでした。

* 2003年9月22日(観測した彗星:2個)

筑波山での彗星観測です。

宮崎修さんの「超高級」アイピースを借りて、ミードに付けてみましたが、見え味が劇的に違いました。1等くらい、暗い星まで見えるような感じでした。機材を1ランク上にする以上の効果があるように感じました。

宮崎さんの31.7cmに、「超高級」アイピースを付けてみると、C/2001 HT50 は、集光の強い、はっきりした、9〜10等くらいの彗星のようにすら見えました。

これはすごい効果なので、私も、ど高めのアイピースを購入しようと思います。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11.5等   視直径1.9分   DC 4   (25.4cm シュミカセ 116倍)

相変わらずぼうっと大きく広がった姿で、集光は無い訳じゃない、という感じです。測定値は、以前とほぼ完全に一致しました。C/2001 HT50 に向ける直前に、急に透明度が悪くなった感じがしました。そのため、C/2001 HT50 は、25cmではかすかで暗く、たいへん淡い姿にしか見えませんでした。後で宮崎修さんに指摘されて、月が出たためだったと分かりました。

C/2002 T7 ( LINEAR )

11.5等   視直径0.8分   DC 7   1.2分(位置角260度)   (25.4cm シュミカセ 116倍)

3週間前にくらべて、ぐんと大きく明るくなっていて、驚きました。相変わらず強い集光があり、恒星状の核が見える、と表現しても良いくらいです。しかも、西に尾が伸びています。吉本勝己さんと永井佳実さんは、コマの偏りとして報告されていますが、私は「尾がある」と感じたので、尾として報告します。でも、中村彰正さんのCCDでも尾の記載がないので、本当は尾ではないような気もしますが。その時は気づきませんでしたが、ちょうど私が見た時間に、GSC 2408-00306 (13.67=14.03等) と重なっていたようです。とはいえ、恒星状にすら見えた中心部の明るさは、それをはるかに凌駕していました。よって、影響なしと判断しています。大きさは倍以上になったような印象があったのですが、測定してみると、0.8分角でしかありませんでした。

* 2003年9月4日(観測した彗星:2個)

群馬県長野原町北軽井沢での彗星観測です。

非常に薄い雲というか、霧の中にいる感じで、すぐ露が付いてしまうような天気でしたが、それでも12等前後の彗星が2つ見えました。恒星は、位置を知らなくても、13等台後半まで見えてしまいます。こんな湿っぽい天気でも、筑波山の真冬の快晴の夜に匹敵するんじゃないでしょうか? 浅間山の麓、おそるべし、です。

C/2001 HT50 ( LINEAR-NEAT )

11.4等   視直径1.4分   DC 4   (25.4cm シュミカセ 116倍)

約半年ぶりです。こちらは相変わらずの姿です。C/2002 T7 に比べてずいぶんと大きく拡散していて、個人的にはこっちの方が見やすい感じでした。

C/2002 T7 ( LINEAR )

12.7等   視直径0.6分   DC 6   (25.4cm シュミカセ 116倍)

初見です。吉本勝己さんも報告されていますが、やたら小さいです。

---------------------------------------------------------------------

Copyright(C) Seiichi Yoshida (comet@aerith.net). All rights reserved.