吉田誠一の彗星観測日記(2010年)

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Updated on December 5, 2010

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* 2010年12月4日(観測した彗星:8個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

金曜日はものすごい豪雨と暴風でしたが、土日は雲1つ無い快晴に恵まれました。

ただ、夜空はちょっと白っぽい感じでした。高倍率では暗い星まで見えるのですが、低倍率ではコントラストが上がらず、大きく拡散した彗星が良く見えませんでした。

C/2009 K5 ( McNaught )

14.5等より暗い   視直径0.7分   (40.0cm 反射 144倍)

空の条件の良いところでは、まだ明るく見えているようですが、見えませんでした。

C/2009 P1 ( Garradd )

13.0等   視直径1.0分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

低空のため、かなり見づらいです。前回の測定値よりかなり暗くなりましたが、フィーリングの印象としては、前回も今回も、12〜13等くらいで、変わりありません。

C/2009 Y1 ( Catalina )

12.9等   視直径0.7分   DC 7   (40.0cm 反射 144倍)

小さいですが、集光が強く、とても見やすいです。視野に導入すると、すぐに分かりました。

P/2010 V1 ( Ikeya-Murakami )

11.9等より暗い   視直径1.6分   (40.0cm 反射 144倍)

空の条件の良いところでは、まだ明るく大きく見えているようですが、見えませんでした。たった1ヶ月で、もう見えなくなってしまいました。

前回は土星のすぐ近くでしたが、今回は金星のすぐ近くで、導入はとても楽でした。

10P/Tempel 2

12.8等より暗い   視直径1.8分   (40.0cm 反射 144倍)

空の条件の良いところでは、まだ明るく大きく見えているようですが、見えませんでした。

29P/Schwassmann-Wachmann 1

14.3等   視直径0.5分   DC 4   (40.0cm 反射 257倍)

アウトバーストしてはいませんでした。かろうじて、かすかに見えていました。暗すぎて、DCは不明確です。

103P/Hartley 2

7.6等   視直径11分   DC 6   (40.0cm 反射 36倍)

1ヶ月でずいぶん小さくなりましたが、まだ充分に明るいです。10x70単眼鏡では、散開星団M46、M47と同一視野に見えて、とても楽しい眺めでした。

240P/NEAT

14.6等   視直径0.4分   DC 4   (40.0cm 反射 257倍)

意外にも見えました。小さい姿です。

* 2010年11月5日〜6日(観測した彗星:9個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

池谷さん、村上さんの新彗星発見のニュースを聴いて、急遽、北軽井沢に観測に出かけました。幸運にも、二晩とも雲一つない快晴に恵まれました。

日中もほぼ、雲一つない、すがすがしい秋晴れでした。ちょっと盛りを過ぎてしまいましたが、あちこちで、日光を受けた紅葉が輝いていました。

日中は暖かいのですが、夜は氷点下になり、ものすごく寒いです。

27年ぶりの食を起こしている、ぎょしゃ座ε星(アルマーズ)も観測しました。11月5.57日(UT)に、3.7等でした。0.8等くらいしか減光しないので、大した違いは無いかと思っていましたが、確かに、ぎょしゃ座の印象がだいぶ違って見えますね。

C/2009 K5 ( McNaught )

11月5日   13.8等より暗い   視直径0.6分   (40.0cm 反射 257倍)

見えなくなりました。

C/2009 P1 ( Garradd )

11月6日   11.5等   視直径1.0分   DC 4   (40.0cm 反射 257倍)

意外にも、明るく見えました。ちょっと見積りが明るすぎる気がしますが。

C/2009 Y1 ( Catalina )

11月5日   13.6等   視直径0.4分   DC 6   (40.0cm 反射 257倍)

11月6日   13.2等   視直径0.7分   DC 5   (40.0cm 反射 257倍)

小さく、こじんまりとした姿ですが、集光がしっかりしていて、意外にはっきり見えます。

C/2010 B1 ( Cardinal )

11月6日   14.3等   視直径0.5分   DC 5   (40.0cm 反射 257倍)

意外にも見えました。しかし、かろうじて存在が分かる程度です。

C/2010 V1 ( Ikeya-Murakami )

11月5日   8.5等   視直径3.5分   DC 7   (40.0cm 反射 75倍)

11月6日   9.0等   視直径4.5分   DC 6   (40.0cm 反射 75倍)

とても集光が強く、明るく見やすいです。思ったより小さいです。

土星の近くで、とても導入しやすいです。

地平線から昇ってきた土星とおとめ座γ星がすぐ分かるほど、低空まで透明度が良く晴れていました。

10P/Tempel 2

11月5日   11.9等   視直径2.1分   DC 3   (40.0cm 反射 75倍)

11月6日   11.4等   視直径2.2分   DC 3   (40.0cm 反射 144倍)

かなり暗くなりましたが、まだ意外と大きいです。

29P/Schwassmann-Wachmann 1

11月5日   13.1等より暗い   視直径1.3分   (40.0cm 反射 144倍)

11月6日   13.7等より暗い   視直径0.7分   (40.0cm 反射 257倍)

見えませんでした。

65P/Gunn

11月6日   13.0等より暗い   視直径0.6分   (40.0cm 反射 257倍)

明るいかと期待していたのですが、見えませんでした。

103P/Hartley 2

11月5日   5.6等   視直径19分   DC 7   (10x70 単眼鏡)

11月6日   5.9等   視直径19分   DC 6   (10x70 単眼鏡)

明るいです。40cmで見ると、たいへん巨大なコマが広がっていますが、集光はとても強いです。

* 2010年8月7日(観測した彗星:4個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

週末は雷雨もなく、晴天に恵まれました。東京は最高気温が35度以上になっていたようですが、北軽井沢は25度くらいで快適です。夜も上着1枚を羽織るだけで、楽ですね。今回は、観測中も蚊に悩まされずに済みました。

日中から雲が多く、夕方も一時は雲に覆われてしまいましたが、21時すぎから晴れ上がり、その後は快晴に恵まれました。ただ、低空はあまり透明度が良くありませんでした。一時、霧も出ていました。

明け方は、3時前に急に南から雲が来て、あっという間に曇りになってしまいましたが、なんとか、雲に覆われる前に観測できました。

縞模様が1本になった木星の姿も楽しみました。

C/2008 FK75 ( Lemmon-Siding Spring )

14.8等より暗い   視直径0.3分   (40.0cm 反射 257倍)

上空はかなり透明度が良く、暗い星まで良く見えているのですが、意外にも、彗星は見えませんでした。CCDでは14等台で、立派な姿に見えるので、期待したのですが。

C/2009 K5 ( McNaught )

11.4等   視直径1.0分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

さすがに暗くなりましたが、まだ明るく見えています。

10P/Tempel 2

8.7等   視直径8.5分   DC 6   (40.0cm 反射 36倍)

11年ぶりの再会です。1999年はそんなに明るくなかった印象がありますが、今回はたいへん明るいですね!

大きく広がっていますが、良く集光しており、拡散している印象はありません。

103P/Hartley 2

13.4等   視直径0.6分   DC 6   (40.0cm 反射 257倍)

この秋に期待の彗星の、初見です。12年ぶりの再会です。

意外にも明るく見えて驚きました。最近になっても眼視観測が無く、もっと暗いのかと思っていましたが。良く集光しており、結構大きいです。

* 2010年5月1日〜3日(観測した彗星:6個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

今年のゴールデンウィークは好天に恵まれ、絶好の行楽日和でした。

宵のうちは明るい彗星が多く、月が昇るまでの間、楽しめました。ひさしぶりに、40cmで星雲星団も楽しみました。

日中はかなり暖かく、4日には25℃まで上がりましたが、夜は寒く、1日はマイナス1℃まで下がりました。しかし、3日間とも露がまったく付かず、快適に観測できました。

1日は、一晩中、雲1つ無い快晴でした。2日は、宵のうちは快晴でしたが、明け方に起きたら曇っていました。3日は、夕方は晴れていましたが、薄雲が往来し、やがて南東から雲がせり上がってきて、曇ってしまいました。

C/2007 Q3 ( Siding Spring )

5月1日   12.4等   視直径1.4分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

5月2日   12.4等   視直径1.3分   DC 4〜5   (40.0cm 反射 144倍)

5月3日   12.6等   視直径1.3分   DC 3   (40.0cm 反射 144倍)

ようやく初見です。最盛期に比べればだいぶ暗くなったのでしょうが、まだまだ明るく、楽に見えます。

この彗星のある北の空は、人工衛星がよく通過しますね。

C/2009 K5 ( McNaught )

5月1日   8.2等   視直径7分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

5月2日   8.5等   視直径7分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

5月3日   8.3等   視直径5.5分   DC 6〜7   (40.0cm 反射 36倍)

集光が強く、とても明るいです。

C/2009 R1 ( McNaught )

5月1日   10.9等   視直径1.5分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

月明と低空のため、かろうじて存在が分かる程度です。そんなに明るくなっていないようです。

P/2010 H2 ( Vales )

5月1日   11.7等   視直径1.9分   DC 6   (40.0cm 反射 75倍)

5月2日   11.7等   視直径1.9分   DC 5   (40.0cm 反射 75倍)

つい2週間前には完全に恒星状で見えていたとは思えないほど、今はもう、すっかりふつうの彗星状です。集光が強く、楽に見えます。

2日は、夕方は13.2等星に重なっていたので、離れるまで待ってから観測しました。

29P/Schwassmann-Wachmann 1

5月1日   11.4等   視直径2.2分   DC 3   (40.0cm 反射 75倍)

5月2日   11.5等   視直径2.2分   DC 3   (40.0cm 反射 75倍)

5月3日   11.3等   視直径2.3分   DC 3   (40.0cm 反射 75倍)

拡散状ですが、明るく、楽に見えます。

81P/Wild 2

5月1日   9.9等   視直径5.5分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

5月2日   9.9等   視直径6分   DC 6   (40.0cm 反射 36倍)

集光がとても強いです。コマがかなり大きく、とても明るいです。コマは扁平しているように見えます。

2日は、コマが10.5等星に重なっていました。

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