MISAO Project

English version       Home Page       Updated on September 23, 2000

2000年9月23日

    PIXYシステム2のチュートリアルページ    

MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (2000年9月23日)

MISAOプロジェクトの吉田誠一です。

MISAOプロジェクトでは、皆様からご提供頂いた約1万枚の画像を基に、約 1000個の新変光星を発見し、のべ約5万個の変光星の光度観測を報告してきま した。

このように大量のデータを扱うMISAOプロジェクトの活動では、MISAOプロジェ クトで独自に開発した天体画像自動検査システムPIXY(Practical Image eXamination and Inner-objects Identification)を利用しています。

現在、これまでの活動での経験を踏まえて、次期バージョン「PIXYシステム2」 の開発を進めています。従来のPIXYシステムでは、それぞれの画像の検査は自 動で行えていましたが、データベースからデータを検索して光度を報告したり、 新変光星を探したりするには、いくつかのスクリプトを組み合わせて使用して いました。PIXYシステム2は、MISAOプロジェクトのすべての作業を統合した、 サーベイ活動のための統合環境になることを目指しています。

PIXYシステム2の最新版は、2000年9月16日版です。このバージョンには、次 の2つの主機能が組み込まれています。

  • 1枚の画像を検査し、星表と比較して、すべての星の位置と光度を測定する。
  • 2枚の画像を比較し、新天体を探す。

MISAOプロジェクトのホームページでは、PIXYシステム2の使い方や応用事例 を、サンプル画像を使って紹介した、次のようなチュートリアルページが公開 されています。

  • 画像の検査
  • 彗星・小惑星の見つけ方
  • 変光星の見つけ方

  • わし座新星の高精度な位置測定
PIXYシステム2のページ
http://www.aerith.net/misao/pixy/index-j.html

いずれのページでも、サンプル画像をダウンロードし、実際に自分で試してみ ることができるようになっています。

「画像の検査」のページでは、PIXYシステム2を使って画像を検査し、画像の 中心座標や画角を求めたり、カタログに載っていない星を調べたり、すべての 星の位置と光度を測定する方法を紹介しています。サンプル画像には小惑星が 写っており、USNO-A2.0を使って検査すると、この小惑星が赤い丸印でマーク アップされます。

PIXYシステム2を使って画像を検査する手順は、次の通りです。途中で一度ダ イアログが開きますので、カタログを選び、赤経赤緯を入力しますが、あとは 特にやることはありません。

  1. 「Image Examination」ボタンを押す。
  2. メニューの[Operations] - [Open Image]を選び、画像を開く。
  3. メニューの[Operations] - [Detect Stars]を選ぶ。
  4. しばし待つ。
  5. メニューの[Operations] - [Matching]を選ぶ。
  6. 読み込むカタログの設定をする。
  7. しばし待つ。
  8. メニューの[Operations] - [Make Pairs]を選ぶ。
  9. しばし待つ。

「彗星・小惑星の見つけ方」と「変光星の見つけ方」のページでは、PIXYシス テム2を使って2枚の画像を比較し、新天体を見つける方法を紹介しています。 サンプル画像には小惑星や変光星が写っており、PIXYシステム2を使うと、こ れらの天体を見つけることができます。特に「変光星の見つけ方」では、実際 に3個のMisV新変光星を発見した画像がサンプルとなっています。

PIXYシステム2を使って新天体を探す手順は、次の通りです。特に何も設定す ることはありません。画像の検査と異なり、GSCやUSNO-A2.0といった星表も不 要です。

  1. 「Multiple Examination」ボタンを押す。
  2. メニューの[Operations] - [Open Image]を選び、1枚目の画像を開く。
  3. メニューの[Operations] - [Open Image]を選び、2枚目の画像を開く。
  4. メニューの[Operations] - [Matching]を選ぶ。
  5. しばし待つ。
  6. メニューの[Operations] - [Create R-GB Image]を選ぶ。
  7. 開かれたR-GB画像で、色の付いた星を探す。

R-GB法とは、門田健一氏が考案した変光天体・移動天体捜索法で、2枚の画像 のうち、1枚を赤で、もう1枚を青緑で着色し、合成します。すると、画像全体 がモノクロになりますが、変光天体や移動天体だけが、赤もしくは青緑色に色 づけされて表示されます。

「わし座新星の高精度な位置測定」のページでは、PIXYシステム2を使って、 小型望遠鏡で撮影された画像でも、1秒角以内の精度で、自動的に位置測定が 行える事例を紹介しています。

PIXYシステム2は、約1カ月に1回のペースでリリースされています。開発に あたっては、皆様からのご意見、ご要望を反映して、計画を立てています。ご 興味を持たれましたら、是非一度、ご利用になって頂きたいと思います。

* サンプル画像は、門田健一氏、井狩康一氏にご提供頂きました。

P.S.
過去のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルは

http://www.aerith.net/misao/index-j.html
で閲覧できます。

--
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
http://www.aerith.net/index-j.html

Copyright(C) MISAO Project (comet@aerith.net). All rights reserved.