新天体候補
上尾サーベイでこれまでに発見された新天体候補を紹介します。
大部分がPIXYシステムで自動的に検出されたものです。
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新天体候補には、発見年ごとに1から順に番号を付けています。
番号の後には、想定される天体の種別を表す記号が付けられています。
それぞれの記号の意味は次の通りです。
C | 彗星 |
A | 小惑星 |
N | 新星 |
S | 超新星 |
V | 変光星 |
F | 突発現象 |
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AGEO 1999-081V
赤経 20h29m56s.99 赤緯 +39o53'36".5 11.7C等
6月5日のサーベイ画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
1998年9月12日に300mm望遠レンズでC/1998 M5 (LINEAR)彗星を撮影した画像からは、この星が検出されなかったため、新天体候補として出力されました。
しかし、画像を見ると、非常に淡く広がった像があることが分かります。
CCDとレンズを使って撮影すると、このように像がぼけてしまう星がたくさん現れます。
ぼけがひどくなると、このように一見すると写っていないように思えてしまうこともあります。
反射望遠鏡で撮影した画像と比較する場合は注意が必要です。
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AGEO 1999-011V = MisV0001
赤経 17h52m26s.59 赤緯 -17o40'00".7 15.0C等
3月22日に、18cm反射望遠鏡で桜井天体 V4334 Sgr を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
2月12日に、18cm反射望遠鏡で桜井天体 V4334 Sgr を撮影した画像からは、16.4等以下で検出されていなかったため、新天体候補として出力されましたが、実際には16.9等で写っていました。
桜井天体からわずかに110秒角しか離れていません。
5分角以内に、桜井天体以外の変光星はありません。
DSS2の画像には、該当位置に明るい星はありません。
3月31日に確認観測を行い、更に14.1等まで増光していることを確認して、新変光星 MisV0001 として登録しました。
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AGEO 1999-010N
赤経 17h59m48s.23 赤緯 -31o16'02".8 8.2C等
3月12日に、18cm反射望遠鏡で撮影した画像から発見された新星候補です。
1月29日に300mm望遠レンズで撮影した画像と、2月20日に180mm望遠レンズで撮影した画像にも写っていました。
この期間内に、10.5等(1月29日)→8.4等(2月20日)→8.2等(3月12日)と増光しています。
この天体は、GSC, USNO-A1.0にはいずれも記載されていません。
また、DSS2の画像には、該当位置にはこれほどの明るい星像はありません。
1分角以内には、既知の変光星は存在しませんが、IRAS 17565-3115と同定される可能性がありました。
しかし、実際にはこの天体は既知の変光星 V1725 Sgr でした。
GCVSに記載されている位置から93秒角も離れていたため、別天体と判断してしまいました。
古くに発見された変光星の位置は、1分角以上違っていることもあるという例です。
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AGEO 1999-009F
赤経 16h08m36s.95 赤緯 +07o46'00".7 14.3C等
3月3日に、18cm反射望遠鏡で超新星1999acを撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
4枚の画像のうち、2枚の画像から同様に検出されました。
しかし、最初の1枚と最後の1枚からは検出されませんでした。
最初の1枚では、かろうじて該当位置にかすかな像があるようにも見えますが、最後の1枚では全く確認できません。
この星像は、他の星像に比べて形状がノイズに似ています。
また、検出された2枚の画像は構図が全く同じで、検出されたピクセルの(x,y)座標も全く同じでした。
そのため、この星像は実在する天体ではない可能性が高いと考え、ノイズと判断しました。
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AGEO 1999-008C
赤経 06h38m09s.8 赤緯 +27o51'13" 15.5C等
2月7日に、18cm反射望遠鏡で140P/Bowell-Skiff彗星を撮影した画像に写った彗星状天体です。
140P/Bowell-Skiff彗星のすぐ側にありました。
右側の図は、USNO-A1.0から19等まで読み込んで作成した星図ですが、この天体が記載されていません。
しかし、DSSの画像を調べると、この天体が写っていました。
よって、この天体は新彗星ではなく、銀河であると判明しました。
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AGEO 1999-007C
赤経 16h58m01s.82 赤緯 -04o33'21".1 12.3C等
2月3日に、300mmレンズでさそり座の球状星団M4を撮影した画像に写った彗星状天体です。
PIXYシステムによって、自動的に新天体候補として検出されました。
星像は移動しているように見えます。
しかし、同じ夜に構図を変えて撮影した別の画像(右)では、この天体は見当たりません。
また、画像の中心に対して対称の位置にはアンタレスがあります。
そのため、アンタレスのゴーストだと判断しました。
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AGEO 1999-006N
赤経 18h00m39s.97 赤緯 -31o26'06".2 9.9C等
1月29日に300mmレンズでさそり座新星1998を撮影した画像(右)から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
1998年6月20日に105mmレンズで撮影した画像(左)では、この星が写っているのかいないのか分かりませんでした。
この位置には、GSCにはGSC7391.1858という星が記載されているため、ただの星である可能性が高かったのですが、変光星の可能性もあり、3月12日に確認観測を行いました。
その結果、1月29日と同様に写ったので、普通の星と判明しました。
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AGEO 1999-005N
赤経 07h11m10s.61 赤緯 +40o02'57".1 14.2C等
1月10日に18cm反射で52P/Harrington-Abell彗星を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
7等星のすぐ側です。
USNO-A1.0には、この星が記載されていません。
一方、USNO-A1.0では、7等星のすぐ東に星が記載されていますが、こちらは画像では写りませんでした。
1月12日に12cm反射で52P/Harrington-Abell彗星を撮影した画像では、輝星に近いためか、写っていないようにも見えたため、新天体候補となりました。
しかし、3月13日に18cm反射で確認観測を行い、普通の星と判明しました。
また、この星はDSSにも写っていました。
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AGEO 1999-004N = MisV0064
赤経 17h55m12s.6 赤緯 -31o01'20" 15C等
1月27日に、さそり座新星1998を撮影した画像に写った星です。
USNO-A1.0には、この星が記載されていません。
また、3分角以内には、さそり座新星以外の既知の変光星はありません。
そのため、新星ではないかと思われました。
しかし、[vsnet-alert 2296]で紹介されたさそり座新星の画像にも同様に写っており、新星ではないと判明しました。
この領域には、星表に記載されていない星が多数あり、注意が必要だという事例です。
但し、後にこの星は変光していることが判明し、新変光星MisV0064として発表しました。
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AGEO 1999-003C
赤経 19h12m52s.22 赤緯 +49o31'01".8 12.6C等
1月17日に、C/1998 M5 (LINEAR)彗星の付近を180mmレンズで撮影したサーベイ画像に写った彗星状天体です。
PIXYシステムによって、自動的に新天体候補として検出されました。
5分角以内には、IRAS天体も星雲星団もありません。
1月20日に300mmレンズで確認観測を行い、微光星が集まっているだけと判明しました。
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AGEO 1999-002F
赤経 06h55m55s.81 赤緯 +30o58'07".0 10.2C等
1月10日に、18cm反射望遠鏡でD/1998 Y1 (LINEAR)彗星を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
同じ夜の別の画像には写っていないことと、その形状が他の星像と異なっていることから、ノイズと判断しました。
通常、ノイズは1ピクセルに収まることが多いのですが、数ピクセルに及んでいるという珍しいケースです。
尚、現在は新天体の捜索に従って、このような1枚の画像だけから検出されたものは、自動的にノイズと判断されます。
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AGEO 1999-001C
赤経 19h09m58s.37 赤緯 +43o24'57".8 9.3C等
1月9日に、300mmレンズでC/1998 M5 (LINEAR)彗星を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新彗星候補です。
2枚の画像のどちらでも写っており、彗星状で、4分13秒の間に移動しています。
但し、形状は彗星というよりも、明るい星のゴーストに見えます。
いずれにせよ、気づいたのが遅かったため、追跡は断念しました。
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AGEO 1998-005N
赤経 05h24m.3 赤緯 +05o59' 0R等
10月10日に、16mm広角レンズでオリオン座を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新星候補です。
オリオン座γ星のすぐ下にあり、ベテルギウスよりは暗いですが、リゲルよりは明るく写っています。
この夜はテストのためにこの画像1枚しか撮影していないので、正体は不明です。
人工衛星や流星かもしれませんが、像は恒星のような形状をしています。
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AGEO 1998-004V = MisV0002
赤経 07h24m03s.56 赤緯 +41o26'02".0 13.4C等
12月9日から20日にかけて、300mmレンズもしくは18cm反射望遠鏡で52P/Harrington-Abell彗星を撮影した画像から検出された変光天体です。
PIXYシステムで測定した光度を調べた結果、12月17日だけ、約1等ほど暗くなっていることが発見されました。
翌日には通常の光度に戻っているので、食変光星の可能性があります。
新変光星 MisV0002 として登録しました。
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AGEO 1998-003C
赤経 07h27m45s.79 赤緯 +41o10'39".8 12.9C等
12月9日に、300mmレンズで52P/Harrington-Abell彗星を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新彗星候補です。
5枚の画像のすべてに写っており、彗星状で、移動しています。
モーションは良く一致していますが、4枚目だけ位置がずれています。
また、この画像の中心に対して対称の位置には、66 Aur(5.2等)が写っています。
よって、この星のゴーストであると判断しました。
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AGEO 1998-002F
赤経 07h17m20s.39 赤緯 +39o52'35".9 14.6C等
11月19日に、12cm反射望遠鏡で52P/Harrington-Abell彗星を撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
しかし、同夜のもう1枚の画像には写っていないので、ノイズだと判断しました。
星像がシャープなので、周囲の本当の星と比較しても、ほとんど違いが分かりません。
2枚の画像がないと、その形状からだけではノイズかどうかの判断ができないという事例です。
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AGEO 1998-001S
赤経 11h48m33s.99 赤緯 +48o43'10".9 13.8C等
3月7日に、400mmレンズで超新星1998Sを撮影した画像から、PIXYシステムによって自動的に検出された新天体候補です。
銀河NGC 3893の近くのため、超新星の可能性があります。
しかし、DSSを調査した結果、普通の星であると判明しました。
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