マッチング
マッチングの前に、画像から検出した星像の等級をなるべく正確に与えておく
必要がある。本システムでは、画像と同じ面積の領域の恒星を星表から抽出し、
明るい順番に並べて、検出した星像の明るい順に光度を割り当てていくという
方法を用いている。そのため多少の誤差が生じている。
マッチングの目的は写像関数を求めることである。写像関数とは、画像中のあ
る座標x,yが、星表から作った星図中のどの座標にあたるのかを決める変換関
数である。具体的には、画像をある角度 で回転させ、ある拡大率kで
拡大したものが、星図上のどこかに当てはまる。この両者の座標の相対的な差
を含めた4つのパラメータが写像関数である。
写像関数は次の手順で求める。画像と星表からそれぞれ3個の星を選び出す。こ
の時、画像から選んだ3星の作る三角形と、星表から選んだ3星の作る三角形が
相似になり、かつ対応する頂点の星の等級が近い場合、この画像中の3星は星表
中の3星と対応づけられる可能性がある。そこで、2つの三角形の間で写像関数
を求める。すべての星の組み合せに対し上記の処理を行う。ここで、正しい写
像関数に対しては、相似な三角形が多数できるため、この方法で写像関数のパ
ラメータを求めると、正解に近い値が求められる回数が一番多くなると期待さ
れる。逆に、偶然相似になった三角形から求めた写像関数のパラメータ値は分
散しているはずである。そこで、結果的に最も重複度の高いパラメータを正し
い写像関数として採用する。実際には、パラメータ空間を適当な間隔で分割し、
それぞれの領域の重複度を求め、最も重複度の高いパラメータ領域内の値の平
均値を写像関数の値としている。
この手法は、初めに入力される概略の付加情報に強く依存している。概略の赤
経赤緯は必ず画像内に入っているものと仮定している。また、画角は指定した
概略値の0.67倍から1.5倍でなければならない。それでも、パラメータがある1
箇所に集中することはなく、いくつかの写像関数候補が求められてしまう。こ
れは最初に検出した星像に割り当てた光度の誤差が大きいことも強く影響して
いる。但し、概略の回転角を指定できれば(例えば北が上になるように撮影して
いると分かっていれば)、正しい写像関数の値が一意に求められる。